今回は、タクトパートナーズの中沢様にお話を伺いました。現在のIFA会社に入社した経緯や、これからの経済観等、専門家としてのご意見を詳しくインタビューしてきました。
Q:今の会社に入社した経緯を教えてください。
A:私は、法政大学を卒業後、SMBC日興証券に入社しました。証券業界を選定した理由としては2点です。1点目は私は家業を営む家の長男で生まれたこともあり、将来家業を継ぐために丁稚奉公として社会経験を積むこと、2点目はお金でお金を産む重要性を知り、将来的には自分自身で株式投資をしていきたいと考えていたからです。業務後はほとんどの時間をテクニカル分析に充て、目の前のお客様がどうやったら儲かるのかを考えていました。
努力が実り、様々な表彰を受け同期のトップランカーとなることができました。しかし、私が成績を残せたのは、決して営業が上手かったからではありません。会社の方を向くのではなく、お客様と同じ方向を向き、求めているものに応えられるように努力をしてきたからだと自負しています。
入社時に掲げた「同期の中で1番になったら退社する」という目標をクリアした2020年に退社を決意しました。その後、知人の紹介を経て弊社の創業者であり代表の續と出会いました。タクトパートナーズ創業の思いである【目先の手数料の為に金融商品を提案するのではなく、大きな視点で心から勧められるもののみを提案しお客様との間で硬い信頼関係を築いていきたい。会社からみた”いい営業員”ではなく、 お客様からみた”いい営業員”でありたい。】という言葉に共感しタクトパートナーズで働く決意をしました。
Q:会社の特色を教えてください。
A:社名であるタクトはオーケストラを導く指揮棒の名称です。当社は、今年で創業8年目を迎えます。幅広い世代のお客様にベストな提案ができるよう、まずは投資経験やリスク許容度等のヒアリングから始め、オ-ダーメイドのような形でご提案しています。
目先の手数料の為に金融商品を提案するのではなく、大きな視点で心から勧められるもののみを提案しお客様との間で硬い信頼関係を築いていきたい。その思いを実現できるところが、会社の特色だと考えています。
Q:アセットマネジメントのプロフェッショナルとして心がけていることはなんですか?
A:お客様と同じ方向を向くことです。
大手証券のビジネスモデルはどうしても手数料先行になりがちです。それは会社が求めるものは実績や数字であり、お客様の利益ではなかったからです。もちろん営業マンが顧客の利益を一切考えていないわけではありません。しかし、会社からの指示や大きな予算、ノルマによりにどうしても会社とお客様との板挟みになり、自らの相場感に反するものであっても販売しなければならないというタイミングが多く存在しました。そしてこれに多くの営業マンが悩んでいるのを見てきましたし、私もその一人でした。
証券マンの真の目的は、悩みを投げかけてくれたお客様に対して、一緒に悩み考えながら共に答えを出していくことだと思っています。私だったらどうするか、家族だったらどうするかという気持ちを持ってお客様と同じ方向を向くことで真の信頼が得られるものだと思います。創業者の言葉を借りると、常にお客様からみた”いい営業員”を一番に心がけています。
Q:得意とする金融商品、ソリューションを教えてください。
A:私の強みは米国株です。米国市場には日本市場とは桁違いのパワーがあります。
例えば、2021年の米国市場はダウ平均+13%ナスダック+11%に対し、日経平均は+5%でした。1980年~2018年の平均リターンで見ても日経平均の1.5%に対し、米国市場は9%と大きな違いがあることがわかるかと思います。私が日興証券時代に感じたことは、日本人の米国株への投資比率が極めて低いということです。
日本株をお持ちの方に米国株のお話をすると、米国株は「馴染みがない」「日本株じゃないと不安だ」との声が大半を占めました。これだけのリターンの差があるにも関わらず、「馴染みがない」と切り捨ててしまうのはあまりにももったいないと感じ、お客様の米国株への抵抗感を取り除くことに努めました。そして、一度米国株を保有してもらうと、お客様の収支は一気に改善していきました。その経験は、その後更に米国株への研究を続ける原動力となりました。
また、米国株の魅力をお伝えするだけでなく、子供の頃から自然と米国のITや最新テクノロジーに触れてきた世代だからこそ、違った視点で様々なお話ができるのではと思っております。米国株へ投資をしたことがない方や、投資をしてみたいが何を買ったら良いのかわからない方へ私が持つノウハウを全てお伝えし、少しでもお力になれればと思っております。
Q:現在の経済観や、おすすめの投資商品はありますか?
A:現在の相場は、コロナウイルス感染拡大により過去に類を見ない金融緩和の状態です。しかし、その金融相場は米国や欧州を中心とした金融引き締めにより終焉を迎えようとしております。
一部の記事では、現在の株式市場はバブルであり、近いうちに大きな下落とともに崩壊するという論調を目にします。しかしバブルとは誰もが前のめりで上昇を信じて疑わない状況を言います。世界の投資家皆が実体経済と現在の株価水準に乖離があると認識していること、そしてそろそろ下がるかもしれないという危機感を持ちながら相場と向き合っている現状は決してバブルではありません。あくまで金融緩和が作り上げた金融相場であるのです。そういった観点から見ても相場の大崩壊というシナリオは低確率であると考えております。
しかし、テーパリングの開始、先々の利上げは金融相場の終焉させ、業績相場へと移り変わっていきます。
これまでは大規模な金融緩和に支えられ、実態の伴っていない企業であっても軒並み上昇しました。むしろ堅実な会社よりも、高PERで高ボラテリティの高いものほど買われ、それを見て更なる資金が高PERで高ボラテリティへ投下されてきました。金融相場の終焉は、こういった企業の大幅な下落(本来の価値へすり寄っていく)を意味します。逆に言えば、これまでは高PERで高ボラテリティに魅了され、放置されていたしっかりと業績の伴った企業に目線が注がれていきます。これが金融相場から業績相場への移行なのです。
そのような相場の中ではこの一年結果の出ていた投資方法が通用しなくなっていきます。これまでと異なった投資先や、指標を用いて銘柄を検討することが必要になりますし、それらを皆様にお伝えしていきたいと思っております。
また、タクトパートナーズの強みは、ネット証券最大手であるSBIの代理店ということで、売買手数料が安いことが挙げられます。株式や投資信託を中心にお取り引きされてる方には同じものを買うのにコストダウンするというだけで大きなメリットかと思います。
推奨する金融商品としては仕組債と呼ばれる、わかりやすく言うと株式と債券を組み合わせた商品や米国株など多く存在します。しかし、相場感は十人十色であるため、お客様のお考えや意向を汲み取り、お考えに合うものを提示することを心がけております。
Q:最後に、中沢様がこれから目指す姿を教えてください。
A:私は日興証券を退社後、家業やタクトパートナーズで働く傍ら、有難いことにビジネスジャーナルやSPAなどの寄稿させて頂いております。将来的には、雑誌やメディアへどんどん露出していき、我々世代だからこそ感じるテクノロジーや相場感について伝えていきたいと思っています。
現在メディアに出ているアナリストは比較的年齢層が高いように感じます。勿論、知識や経験については私には到底及ばないものばかりですが、若い世代の考えや新たなテクノロジーについては我々世代の方が親近感があり、より具体的でわかりやすい情報を発信できるのではないかと考えています。
また、テクノロジーの進化により、高度な情報社会となっている今、若い世代の方が様々なデバイスを駆使し、自然と多くの情報に早く触れることができています。繰り返しになりますが、子供の頃からITや最新テクノロジーに触れてきた我々世代だからこそ感じるものを発信していきたいです。
また、メディアに露出していくことは社会的信用にもつながると考えております。何かのご縁でお繋がりになったお客様へ安心して投資できる環境を自ら作りたい、そして少しでもお力になりたい。それが今、私が目指す姿です。