株価が動く要因とは
株価の変動は、基本的には需給によって決まりますが、需給に影響を及ぼす要因としては、直接的、間接的なものを含めてさまざまなものがあります。
企業の業績だけではない、さまざまな要因
1株当たりの値段のことを「株価」といいます。株価は毎日のように変動しています(取引量が少ない不人気の銘柄では変動していない場合もあります)。
なぜ、株価は動くのでしょうか。株価の変動に直接的に影響を与えるのは需給関係です。商品の価格と同じように、その株を「買いたい」という人が多ければ株価は上がり、「売りたい」という人が多ければ株価は下がるようになっています。
では、その需給はどのようにして変わるのでしょうか。以下に、株価の需給に影響を与える代表的な要因を挙げてみました。

図解:株式の需給に影響を与える要因
景気
景気がよくなると株価は上昇しやすくなります。反対に景気が悪くなると株価は低迷します。ただし景気の波と株価が同じように動くのではなく、株価は景気を先取りして動く特性があります。
為替
為替も株価が動く大きな要因の一つ。自動車メーカーや電機メーカーなど輸出企業は、円安になると商品が輸出しやすくなり、利益が増える傾向にあります。反対に、電力·ガス、食品などの輸入企業にとっては、円高のほうにメリットがあります。日本は輸出企業の存在感が強いため、円安になると株価が上がりやすくなります。

図解:為替も株価が動く大きな要因
金利
一般的に、金利上昇は株価下落、金利低下は株価上昇の要因になります。理由はさまざまですが、たとえば、金利上昇によって定期預金や国債などの金融商品の魅力が高まれば、リスクの高い株式からそれらの商品に資産を移そうという人が増えるからです。また企業にとっては、金利上昇によって銀行からお金を借りにくくなるため、設備投資がやりにくくなり、成長が止まってしまうという影響が考えられます。
政策/政局
政治も株式市場に大きなインパクトを与えます。 金融緩和政策が発表されれば、景気回復への期待感から株価は上がります。また、たとえば「消費税の増税」が決まると、増税前までに高額な買い物をしようという“駆け込み需要”が生まれるため、住宅·不動産などの銘柄は上昇することになります。
また国内の政局が不安定になったり、近隣の国との間に政治的問題が起きたりすると、株式市場全体が下がることがあります。
自然災害、天候
自然災害も株価を上下させる要因となります。たとえば地震が発生すると市場全体が下落するものの、建設関連など一部の銘柄では復興需要を先取りして急勝することがあります。アメリカのハリケーン、タイで起きた洪水など、日本と密接な関係を持つ国の自然災害も、日本市場に影響を与えることがあります。食品会社や飲料会社などは、天候に影響を受けやすい業種です。たとえばビール会社は、夏が猛暑になるか冷夏になるかで大きく売上が異なってきます。
海外市場
海外市場の動向も日本の株式市場に大きな影響を及まします。たとえば前夜の米国株式市場が急落すると、日本の株式市場もつられて急落し始めるといったことはよくあります。日本市場が日中軟調に推移していると思ったら、すぐ後に始まった中国市場の好調に影響されて息を吹き返すといったこともあります。海外市場の変動には気を配っておいたほうがいいでしょう。
企業の業績
株価を動かす要因のなかでもインパクトが強いのが、企業業績です。業績がよい企業には、配当金の増加や新しい設備投資、新製品の開発などが期待でき、その企業の価値が高まることが予想されるため、株価は上がります。企業の業績については、すでに終わった年度の数値より、次年度以降の数値のほうが注目されます。前期まで好調な業績を保っていた会社でも、今期·来期の業績予想が悪いと、株は売られることになります。
M&Aや株式分割、増資
「株式公開買付(TOB)」や「マネジメント·バイアウト(MBO)」のニュースが流れたり、自社の株を買う「自己株式取得」、株を買いやすい単位に分ける「株式分割」が発表されたりすると、株価にプラスに作用することがあります。
TOB とは、ある会社の株を大量に取得するために、買付価格や期間を宣言して、不特定多数の株主から株を買いつける行為のこと。合併・買収の手段として使われます。
MBO とは、その会社の経営陣による買収のこと。たとえばオーナーではない経営者が、オーナー経営者から事業を買収し、新しい会社として独立したいときなどに MBO を行います。TOB にしても MBO にしても、発表されたあとは株価が急騰するケースが多くあります。
株式を新たに発行する「公募増資」が発表されると、株価は反対に、大きく下がるケースがあります。増資によって発行済み株式数が増えることで、1株当たりの価値が薄まると考えられるためです。
需給要因
上記のようなさまざまな要因が投資家の動向を左右し、株式の需給に影響を及ぼします。株式の需給に直接影響を及ぼす投資家には、外国人投資家、金融機関などの機関投資家、個人投資家などが挙げられます。日本の株式市場においては、海外の年金基金、投資信託、保険会社、ヘッジファンドなどの外国人投資家の売買シェアが5割以上を占めます外国人の関心に株価が大きく左右されるということです。
いかがでしたでしょうか。投資の中でも最もポピュラーな株式投資を学ぶことで、自身の金融リテラシーを大いに高めつつ、資産形成に繋げることができます。資産運用に興味のある方は少額からでもいいので、一歩ずつ無理のない範囲でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。