株式投資をする際に利用される独特の折れ線グラフのような「チャート」。チャートには見た目以上に多くの情報が詰まっています。今回はチャートをはじめとした株式分析について見ていきましょう。

チャートからさまざまな情報がわかる

チャートは株価をグラフに表現したもので、細かく見るとさまざまー情報を読み取ることができます。チャートを分析することで、売留のタイミングや株価のトレンドを予測するのに役立ちます。基本的なチャートは、株価の上下を表す「ローソク足」、株価の平均値を線で表現した「移動平均線」、取引量を棒グラフで表現した「出来高」で構成されています。

ローソク足

ローソク足は、一日の株価の動きを1本で表したもの。一日の株価のなかで、最初の株価を始値、最後の株価を終値、一番高い株価を高値、一番安い株価を安値といいます。 下記の図のように、ローソクを使ってこの4つの株価(4本値)が表現されています。於値よりも終値が高かったときには「陽線」が、始値よりも終値が安かったときには「陰線」が描かれます。始値と終値が同じ価格のときには「十字足」になります。一日に1本のローソク足を描いたチャートを「日足チャート」といい、1週間の場合は「週足チャート」、1ヵ月の場合は「月足チャート」といいます。日足は短期的な値動きを、週足、月足は中長期的な値動きを把握するのに適しています。

図解:ローソク足の意味(左から陽線、陰線、十字足)ローソク足チャートからは、たとえばこんなことが読み取れます。

陽線が何本も続いている……値上がりしようという勢いが続いていることを示し、今後の値上がりも期待できる。

長い下ヒゲが出た……いったん大きく下落したものの、安値からだいぶ買い戻されて終わったため、今後さらに買われそう。

何本も陽線が出た後、長い陰線……上昇トレンドが続いていたが、降トレンドへと転換した可能性がある。

移動平均線

一定期間の株価の平均を取り、それを結んで線グラフにしたものが「移動平均線」です。「5日移動平均線」なら、その日からさかのぼって5日前までの株価平均し、グラフに書き入れていきます。たとえばその日が3月5日な3月1日から3月5日までの株価の終値を平均して、3月1日にその値を書き入れます。次の日からも同じように5日間の平均を取り、平均催同士を結びつけると、「5日間移動平均線」ができあがります。移動平均線は、平均値を取る期間によって、「5日移動平均線」「25日移動平均線」「13 週移動平均線」など、いろいろなものができます。主に日足チャートには5日、25日、75日など、週足チャートには13週、26 週など、月足チャートには 12ヵ月、24 カ月などの移動平均線が使われることが多いようです。移動平均線からは、こんなことが読み取れます。

移動平均線が上昇…株価が上昇トレンドにある。

株価が移動平均線より大きく上に垂離…投資家の平均購入コストより高い価格にあり、売りが出て反落する可能性がある。

出来高

出来高は、売買が成立した株数を棒グラフに示したもの。売買高ともいいます。多いほど活発に取引が行われていることになります。出来高がはローソク足や移動平均線と同様に、投資家の心理状態を反映するグラフといえます。出来高からは、こんなことが読み取れます。

しばらく出来高が少なかったが、急に増えた…この企業にニュースなどがあり、注目する人が一気に増えた。

株価の上昇が続いたあと、出来高が急増……買いのピークになり、反落する可能性が高い。

決算短信を読む

企業の IR サイトでは財務データなどの業績情報が公開されている。なかでも「決算短信」は会社の業績予想に対する実績や進捗状況を知るための大切な手がかりだ。

各ブロックの役割を知る

企業は決算の結果や業績についての情報を自社の IR サイトで公表ています。IR サイトには「有価証券報告書」や「アニュアルレポート」などいくつかの資料があります。なかでも四半期ごとに公開される「決算短信」は、企業の業績予想に対する進捗状況を知るうえで重要な資料です。数十枚に及びますが、まずは重要なポイントがまとめられている1ページ目の読み方を知っておきましょう。自分の調べたい企業のウェブサイトを訪れ、「投資家情報」などのベージを開き、「決算短信」の文字を探します。最新の決算短信を開いたら、順に見ていきましょう。決算短信1ページ目は4つのブロックに分けられます。

・ブロック1

ブロック1には、終了した2期分の業績が並んでいます。売上や経常利益が伸びているか、確認しましょう。ブロック4には、今期(または新年度)の業績予想が出ています。 通年の予想のほかに、第2四半期累計(中間期)の予想が出ていることもあります。新年度の予想数値がどれくらい伸びているかは、サプライズを生む要因になります。

・ブロック 2

貸借対照表のポイントが出ています。ここでは、自己資本比率に注目しましょう。これは資産のうち、負債でまかなわれていない部分 (=純資産)の割合です。50%以上なら問題ありません。上場企業の平均は約 40%であり、40%以上でもほぼ問題ないといえます。30%以上でも問題ないことが多いのですが、少し心配です。30%以下の場合は、資産や負債、キャッシュフローの状況をよく見て、資金繰りに問題がないか精密検査する必要があります。

図解:決済短信の読み方

・ブロック3

キャッシュフロー(CF)の数値が出ています。営業CF は本業による現金収支で、経常利益の0.6 ~ 1.2倍程度に収まるのが普通です。設備投資があまり必要ない業種なら 0.6 に近く、備投資が多い業種は1倍近くなることが多いです。営業利益や経常利益に見合ったCF が出ていれば合格です。営業 CFは、営業利益などの動きと多少ずれることも多いですがマイナスになっていたら要警戒です。マイナスだから即ダメというわけではありませんが、何か問題が起こる兆しかもしれません。その場合、キャッシュフロー計算書などでその原因を分析してみましょう。

投資 CF は、設備投資や企業買収などの活動に伴う現金収支です。マイナスの状態が普通ですが、マイナス幅は営業 CF 内に収まっているのが理想です。営業CF を大きく超えたマイナスの場合には、何か大きな投資をしている可能性があります。巨額の投資が成功するかどうか考えてみる必要があります。

財務 CFは、資金調達の現金収支です。プラスの場合には借金を増やしている可能性があります。また、増資して資金調達をしてもプラスになります。一方、マイナスの場合には借金を返済している可能性が考えられますーあるいは、配当の支払い、自社株買いなど株主還元をしてもその分マイナスになります。

いかがでしたでしょうか。投資の中でも最もポピュラーな株式投資を学ぶことで、自身の金融リテラシーを大いに高めつつ、資産形成に繋げることができます。資産運用に興味のある方は少額からでもいいので、一歩ずつ無理のない範囲でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。