今回の記事は景気に敏感に反応する「シクリカル株」と、景気に左右されにくい「ディフェンシブ株」。それぞれの特徴や値動きの傾向を知っておきましょう。

シクリカル株とディフェンシブ株

投資しようとする企業がどのような性格の業種に属しているかも一つの判断材料になります。代表的な分類としては、シクリカル株とディフェンシプ株があります。シクリカル(cyclical) とは、「循環の」「周期的な」という意味で、株式投資では景気の良し悪しに敏感な反応を示す銘柄のことをいいます。「景気敏感株」などともいわれます。シクリカル株の代表業種としては、化学、鉄鋼、機械、電機、自動車、人材派遣、テレビ放送、広告などがあります。ディフェンシプ (defensive)は、「受け身の」「防御的な」という意味で、株式投資では景気に左右されづらく、不況の時でも堅調な値動きをする銘柄のことをいいます。食品、医薬品、鉄道、ガスなどがその代表です。飲食、小売りなども景気に左右されますが、シクリカル株に比べるとだいぶ安定していて、ディフェンシブ株に近いといえるでしょう。それぞれの性質について詳しく解説しましょう。

「シクリカル株」のポイント

先ほど説明した通り、シクリカル銘柄の業績は景気に大きく左右されます。景気がいいときには自動車や電気製品はどんどん買われ、それらの製品を作っているメーカーや、そのメーカーに素材を提供している素材メーカーの業績が上がります。反対に景気が悪くなると買い控えが起こり、モノが売れなくなるのでそういった企業の業績が悪化します。そして、業績に合わせて株価も激しく上下動する傾向があります。また、日経平均などの株価指標は景気を半年程度先取りして動く習性がありますが、シクリカル株はほかの業種よりもさらに先行して動く習性があります。業績がどん底のなかでも、景気好転の動きを察知して、市場に先駆けて株価が上がることがあります。シクリカル株を景気のボトムや相場の底打ち時に買うと、大きな成果を収められます。しかし買うポイントを間違えると、「好業績で PER も低いと思って買ったら、そこから株価は下がり続けた」といった失敗につながります。業績や PER による投資判断が当たりづらいのがシクリカル株で、どちらかというと個人投資家よりプロ向けといえます。もしくはその業界に詳しい人なら、値動きを読んだ投資がしやすいかもしれません。もしシクニカル株に投資するなら、会社の定性面を考えつつ、景気動向や株価チャートを重視して、景気や株価トレンドが底入れしそうなことを確認して投資するのがいいでしょう。その際、あまり目先の業績やPERなどにこだわりすぎないことが大事になってきます。

化学、機械

日本が強い分野で、特にニッチな分野で世界的に高シェアの企業などは投資対象として面白い。自己資本比率が高く、PBRが低く、財務面で魅力の高い株も多い。たとえば、機械には紙おむつ製造の「瑞光」や、すしロボットの「鈴茂器工」などのように、日本ならではのニッチな分野に強いメーカーが独自の技術や製品で大きく伸びる例がよく出てくるので注目される。

電機

大手企業の凋落が激しいが、部品メーカーなどでは依然として高いシェアを誇る企業が多い。

自動車

日本が最も強い分野。完成車メーカーも大手から下位まで強いところが多く、部品メーカーも独自の技術·製品で強いところが多い。

 

「ディフェンシブ株」のポイント

ディフェンシブ株はシクリカル株とは反対で、素直な値動きをします。業績や PER を見ながらの売買判断がしやすく、個人投資家向けといえるでしょう。

食品

比較的安定した会社が多いが、小さい会社ではヒット商品が出ると化ける可能性も。

小売り

比較的安定した会社が多いが、ユニクロやメガネの JINSのように、何かのヒットで爆発的に業績が伸びることがある。そうした状況を消費者として確認しながら投資できるのが魅力。

医薬品

製品の判断が難しく基本的にプロ向き。ただし、財務が盤石で高配当企業が多いので配当狙いの投資はありかも。

鉄道

地域独占なので最も安定した業種といえる。駅や周辺の開発、電子マネーなど成長のタネもあります。

ガス

公共株で安定しているが、シェールガスのビジネスに乗り出して成長のタネを持つ企業も存在しています。

いかがでしたでしょうか。投資の中でも最もポピュラーな株式投資を学ぶことで、自身の金融リテラシーを大いに高めつつ、資産形成に繋げることができます。資産運用に興味のある方は少額からでもいいので、一歩ずつ無理のない範囲でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。