今回は保証維持率と追い証の項目をご紹介します。あまり馴染みのない言葉に感じる方も多いとは思いますが、決して難しい話ではありませんし、是非この機会に知っておいても損は無いと思います。
保証金維持率と追い証
信用取引はレバレッジの効いた取引で大きなリターンが狙えるが、反面リスクも大きい。特に怖いのが「追い証」だ。
委託保証金とは?
信用取引をするうえで知っておかなければならないルールが、「委託保証金」です。信用取引は、自分の投資資金を保証金として証券会社に委託することで、買い付けるための代金や、売建てするための株券を借りて行う取引です。取引額に対する委託保証金の割合は法令で30%以上と決められています。これを「委託保証金率」といいます。実際の委託保証金率は証券会社が独自に設定しています。たとえば委託保証金率が35%の証券会社なら、35万円の現金を口座に入れておけば、100万円までの取引ができます。現金だけでなく株券も担保として扱うことができます(=代用有価証券)。ただし株券の場合、担保価値は現在の評価額の 80%程度となるなど、一定の比率を割り引いて換算されます。
委託保証金維持率を下回ると「追い証」に!
問題は、実際に信用取引をしているときに、買建てした銘柄が値下がりしたり、空売りした銘柄が値上がりしたりして、含み損が発生したときです。含み損の分は保証金から差し引かれて計算されるので、保証金の評価額が目減りします。また、担保となっている株が値下がりすることでも、保証金の評価は目減りします。委託保証金の評価が信用取引の建玉の一定水準未満になると、追加保証金(追い証)を差し入れなければならなくなります。追い証を差し入れる水準のことを「委託保証金維持率(または最低委託保証金率)」いいます。委託保証金維持率は各社で異なります。次の図は委託保証金維持率が 20%の証券会社で、建玉に評価損が発生し、追い証となるケースです。300万円の委託保証金で、総代金1000万円の信用買い取引を行っていました。その買い建玉の株価が 20%下落し、200 万円の評価損が発生しました。評価損は委託保証金から差し引かれるので、委託保証金はこれにより委託保証金維持率は300万円- 200 万円= 100万円となり、10%となってしまい、追い証が発生しました。追い証が発生すると、委託保証金維持率が規定の水準に達するまで現金を入金しなければなりません。現金を入金するまでの期限は「翌々営業日 11時まで」などと非常に早いので、迅速に入金する必要があります。
図解:追い証発生のイメージ

追い証にならないために
族価の変動は激しく、数日で20%や 30%動くことも珍しくありません。信用取引しているときにそんな大きな変動があると、保証金があっという間になくなってしまいます。信用取引は少ない資金で大きな取引ができる「レバレッジ効果」で高いリターンを狙える手法ですが、その反対に損失を被るリスクも大きいのです。追い証を発生させないためには、余裕のある取引をすることが大切です。委託保証金率ギリギリの取引をするのではなく、もっと少ない額を取引するか、あるいは余分に保証金を入れておくことで追い証の発生を防ぐことができます。
いかがでしたでしょうか。投資の中でも最もポピュラーな株式投資を学ぶことで、自身の金融リテラシーを大いに高めつつ、資産形成に繋げることができます。資産運用に興味のある方は少額からでもいいので、一歩ずつ無理のない範囲でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。