国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の視点が求められる中、官民がふるさと納税をSDGs達成に向けた事業に活用する動きが広がっています。ふるさと納税総合サイト『ふるさとチョイス』が2013年に創設したクラウドファンディング型のふるさと納税「ガバメントクラウドファンディング®(GCF®)」(https://www.furusato-tax.jp/gcf/)では、2019年からプロジェクトをSDGs17目標で指標化し、地域の課題解決をSDGsに紐づけて発信しています。

そこで、『ふるさとチョイス』を運営するトラストバンク(東京都目黒区)の浪越達夫氏が、「ふるさと納税×SDGs」をテーマに、自治体の取り組みを連載で紹介していきます。

企業やNPOなどが自治体と連携し、SDGsや地方創生に取り組むヒントとなれば幸いです。

※「ガバメントクラウドファンディング®」については下記参照

「地域発の事業に新たな資金の流れを作る「ガバメントクラウドファンディング」に迫る」

https://financewalker.jp/interview10179/ 

 「もしも」に備え、地元メーカーの発電・蓄電池を避難所に=宮崎県国富町

宮崎県国富町は2019年10月から今年1月、災害に備えて町内の避難所に発電・蓄電装置を設置する資金をガバメントクラウドファンディングで募り、約半年で目標寄附額210万円を達成しました。地元の太陽光発電メーカーと連携し、住民が安心できる避難所づくりに取り組んでいます。

近年、地震や台風の被災地では、大規模停電が発生しています。国富町は、山や川に囲まれ自然豊かな一方、災害時には倒木や川の氾濫が起きる危険性があります。2018年の台風24号では、倒木により電線が切れ、一部地域で停電が発生しました。

現在、町内の避難所のコンセント数には限りがあり、多くの人が同時に充電することはできません。さらに、停電してしまうと電源自体を失うことになります。

そこで国富町は、非常時の災害支援ツールとして、太陽光発電地と蓄電地を町の主な避難所となる小中学校4校に設置することを決め、ふるさと納税で費用を募ることにしました。町内に工場がある国内有数の太陽光発電メーカーソーラーフロンティアの装置を使います。

避難所に指定されている学校に設置することで、災害時の親子の連絡手段を確保し、保護者の不安軽減にもつなげています。さらに、発電・蓄電池は子どもたちの避難訓練にも活用しており、次世代の自然エネルギー教育にも役立てています。

<プロジェクト概要>

自治体:宮崎県国富町

プロジェクト名:「もしも」のときでも安心!非常時に役立つ発電・蓄電システムを避難所へ設置したい!

URL:https://www.furusato-tax.jp/gcf/647

目標寄附金額:210万

 

 日本初、自然エネルギーで暮らせる家「アースシップ」を建設=徳島県

徳島県は2018年、美馬市の山合の風土を生かした自然エネルギーのゲストハウス「アースシップ」を建設し、誰もが気軽に公共エネルギーに頼らない暮らしを体験できる拠点整備の一部費用をガバメントクラウドファンディングで募りました。同年8月~10月の86日間で目標寄附額150万円を達成しました。

アースシップは、古いタイヤや空き缶・瓶などを建材に活用し、発電、集水・貯水、下水処理、食料生産までできる建物です。世界で約1,500棟あり、日本では美馬市の標高約720mの山間部にある「Earthship MIMA」が初めてです。

2018年11月に米建築家やインストラクター、工法を学ぶワークショップ参加者が美馬市を訪れて建設し、見学や宿泊体験もできる施設にしました。ガバメントクラウドファンディングでは、このプロジェクトに寄附をした人が寄附額に応じて施設の見学や宿泊体験をできるメニューも用意しました。

プロジェクトを主導したのは、2015年に地域おこし協力隊として神奈川県内から美馬市に移住し、現在「Earthship MIMA」を運営する倉科智子さんです。

きっかけは、東日本大震災で「毎日、何気なく使っていた電力について自分自身の在り方を深く考えるようになった」(倉科さん)こと。地球環境に負荷のかからないエネルギーを使いつつ、今までの利便性をそのまま享受できる家や暮らしについて模索してきました。

倉科さんは、自然に寄り添いながら暮らす美馬の住民の知恵とアースシップを組み合わせることで、持続可能なライフスタイルを創造できるのではないかと考え、「Earthship MIMA」の建設に励んできたそうです。

2017年にアースシップの米建築家を招いた講演会とワークショップには、地元や全国から約100名参加するほどの関心を集めました。

このプロジェクトを通して、地域に残る知恵や共同体を継承するとともに、新たな人やモノを呼び込む地域経済の活性化を促すことにもつながります。

さらには、美馬市や徳島県が自然エネルギーの先進地として認知され、自然エネルギーを基盤とした新たなコミュニティモデルの形成も期待されます。

<プロジェクトの概要>

自治体:徳島県

プロジェクト名:自給自足できる家「アースシップ」を誰もが体験できるゲストハウスとしてオープンし、新しい暮らしの在り方を考える場をつくる。

URL:https://www.furusato-tax.jp/gcf/339

目標寄附金額:150万円

◆ SDGsは課題解決の「共通言語」
2月中旬、鹿児島県徳之島町主催の「島嶼SDGsキックオフシンポジウム~自治体×企業×島のパートナーシップ構築~」で町の取り組みについて話す機会がありました。そこでは、数多くの企業が町と連携し、島が抱える様々な課題の解決に向け実施された事業が紹介されました。
企業と自治体がSDGsという共通言語を得たことで、お互いの得意分野を持ち寄った連携が急速に進んでいると改めて感じています。
地域課題とソリューションがSDGsという共通言語で結びつき、自治体と企業・テクノロジーが地域の未来を共に創り上げる「共創」が加速していくと期待せずにはいられません。

株式会社トラストバンクについて

2012年4月設立。 2012年9月にふるさと納税総合サイト『ふるさとチョイス』を開設し、月間最大約2億PV(2019年12月)、契約自治体約1,500団体超(2020年2月)、お礼の品登録数24万点超(2020年2月)を有する国内最大のふるさと納税総合サイトに成長。 2013年9月に「ガバメントクラウドファンディング(R)」をスタートし、2020年3月現在690プロジェクトで累計72億円超を集めた。 2014年9月、災害時にふるさと納税の寄附金を被災地に届ける「ふるさとチョイス災害支援」を立ち上げ、 全国の自治体に無償でサービスを提供。