ふるさと納税×SDGsをテーマに、自治体の地域課題解決の資金をふるさと納税で調達する「ガバメントクラウドファンディング」を連載で紹介します。企業やNPO団体などが自治体と連携し、SDGsや地方創生に取り組むヒントとなれば幸いです。
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コロナの影響でトラストバンクも出張を自粛していますが、昨年は多くの地域に訪問し、さまざまな産業に携わる皆さんとお話する機会がありました。

その中の一つが、「庶民の宇宙旅行」を目指し、民間主導による宇宙飛行機(スペースプレーン)を開発している愛知県碧南市のベンチャー企業「PDエアロスペース」。研究・開発の現場を見せてもらいました。


(PDエアロスペース代表取締役 緒川 修治さん)

決して新しいとはいえない建物でしたが、古い階段を上った先は、実験で使った実際に飛行可能なテスト機や、見ても何に使うのか検討もつかない機材がならんでいました。まさに、従業員の皆さんの宇宙への情熱があふれる“夢の空間”でした。

実際のロケットを作るであろう、体育館ほどの大きさの建物。

屋内にはまだ何もなく、広い空間の端に机が置いてある程度でしたが、いずれここで飛行可能なロケットが作られ、まるでSF映画のような光景が広がるんだろうなと想像し、とてもワクワクしたのを覚えています。

碧南市は、PDエアロスペースの開発費をガバメントクラウドファンディングで募り、同社の「誰もが行ける宇宙」への夢を応援しています(https://www.furusato-tax.jp/gcf/284)。

ふるさと納税は、こうした日本各地で行われている夢あふれる研究開発や技術革新を応援することに活用され、地域の産業発展につながっています。

◆ ふるさと納税でロケット打ち上げやドローン活用を応援
今回は、SDGs17の目標のうち「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」についての取り組みを紹介します。

〇自治体:北海道大樹町 (ほっかいどう たいきちょう)
プロジェクト名:MOMOの打上げ実験成功!次のステージは商業化へ!誰もが宇宙に手が届く未来をつくる「宇宙のまちのロケット開発応援プロジェクト」
URL:https://www.furusato-tax.jp/gcf/531
目標金額:5,000,000円
寄付金額:5,051,000円(達成率101%)
寄付募集期間:2019年4月11日~2019年8月8日(120日間)

プロジェクトオーナーの声:※ページ本文から引用(メディア引用ポリシーの記載に準ずる)
『北海道大樹町は、ずっと宇宙を夢見てきました。
30年前から「宇宙のまちづくり」を進め、航空宇宙事業の誘致に奮闘し、町内ではこれまでJAXAや大学、民間ロケットベンチャー企業の航空宇宙実験が行われてきました。
しかし、宇宙を夢見る時代は終わりです。
人口5700人の町から、ロケットが宇宙に飛ぶ。
夢にまで見た、宇宙に手が届くミライ。
そんなミライを実現させるために立ち上げた、宇宙のまちづくり応援プロジェクト”
具体的には、大樹町内に本社を構える民間ロケットベンチャー企業インターステラテクノロジズ株式会社のロケット開発・打ち上げ環境整備の支援を行います。
大樹町はインターステラテクノロジズ株式会社の宇宙開発を支援し、ともに宇宙を目指します。』

 

〇自治体:長崎県平戸市 (ながさきけん ひらどし)
プロジェクト名:ドローンの先端技術を使って地域課題を解決する人材を育成し、観光振興や密漁防止につなげたい!
URL:https://www.furusato-tax.jp/gcf/663
目標金額:33,000,000円
寄付金額:33,000,000円(達成率100%)
寄付募集期間:2019年10月11日~2019年12月20日(70日間)

プロジェクトオーナーの声:※ページ本文から引用(メディア引用ポリシーの記載に準ずる)
『全国に先駆けてドローンの社会実装に取り組むことを通じて、平戸市の産業を振興し、地域の価値を高めます。このような取組みは、まちのたからを紡いでいくことが大きな目的です。
「漁業、観光、教育」の3つのドローン活用領域において、平戸市の課題を解決すると共に、日本国内で最も進んだ優良事例を創出することを目標とし、クラウドファンディングに挑戦します。
「新鮮な海の幸」、「絶景の観光資源」、「将来を担う子供達」、これらの”たから”をドローンを活用し、まもり、活かすことで平戸市をさらに輝かせます。
そして平戸市の将来を担う子供達が平戸市で技術を紡いでいくことで、平戸市は日本でもっとも発展したドローンのまちになります。
「夢あふれる 未来のまち 平戸」を実現する第一歩として、新たな事業を立ち上げます。』

 

◆ 自治体×企業による地域発の技術革新
AIを使った農業技術の発展や、自然エネルギーを活用したソーラーハウスの開発など、ふるさとチョイスの「ガバメントクラウドファンディング」では、自治体と革新的技術を持つ企業による地域発の技術革新や、そこで生まれた産業を応援するプロジェクトが数多く実施されてきました。

私は、自治体と企業が連携してその意義を広く伝えることで、ふるさと納税による寄付が集まり、夢が少しずつ実現可能な未来として現実味を帯びてくる例をたくさん目の当たりにしてきました。

ガバメントクラウドファンディングには、寄付を集めるセオリーが存在するのは事実ですが、自治体と企業が「ベンチャー魂」を前面に出し、そのセオリーを超えてくる姿に感動すると共に、多くのことを学びました。

日本各地での取り組みを見ていると、今後、こうした取り組みが現在の何十倍にも増えていけば、地域発の技術革新が数多く生まれ、そこで生まれた産業によって地域が自立し持続可能な状態になっていく。そんな未来も遠くないんじゃないかと、期待せずにはいられません。

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株式会社トラストバンクについて
2012年4月設立。 2012年9月にふるさと納税総合サイト『ふるさとチョイス』を開設し、月間最大約2億PV(2019年12月)、契約自治体約1,560団体超(2020年5月)、お礼の品登録数26万点超(2020年5月)を有する業界最大級のサイトに成長。 2013年9月に「ガバメントクラウドファンディング(R)」をスタートし、2020年3月現在690プロジェクトで累計72億円超を集めた。新型コロナウイルスに伴う支援プロジェクトも実施中(https://www.furusato-tax.jp/feature/a/corona-virus_support_index
)。

<参考記事>
・「地域発の事業に新たな資金の流れを作る「ガバメントクラウドファンディング」に迫る」(https://financewalker.jp/interview10179/)
・【ふるさと納税×SDGs コラム#1】 ふるさと納税を地域の再エネ促進に活かす ~エネルギーをみんなに そしてクリーンに~(https://financewalker.jp/column10250/)
・【ふるさと納税×SDGsコラム#2】~質の高い教育をみんなに~(https://financewalker.jp/column10255/)
・【ふるさと納税×SDGsコラム#3】~すべての人に健康と福祉を 新型コロナウイルス対策への支援~(https://financewalker.jp/column10257/)