投資にはつきものの「リスク」についてお話ししていきます。不動産投資におけるリスクはどのようなものなのか、是非ご一読ください。

儲かっている人は50%

不動産投資は、あくまで「投資」です。投資である以上、必ずリスクがあることを、最初の時点で十分に認識しておく必要があります。「絶対に儲かります!」と営業トークの中で言ってしまう営業マンがいますが、絶対に儲かるなんてことは100%ないので、この点だけはしっかりと肝に銘じておいてください(ちなみに「絶対に儲かる」といった類の発言は、「断定的判断の提供」といって、明確な宅建業法違反です)。

では、「不動産投資で明確に成功している」と言えるレベルの成果を得ている人がどれくらいいるのかというと、よくてせいぜい5割程度ではないかと思います。収支トントンレベルの人が3割程度、はっきり赤字という状態の人が2割程度いるものと考えます。

「赤字の人が2割もいるの?」と驚いた人もいるかもしれませんが、それでも他の投資に比べれば、リスク発生率は低いほうだと思います。他の投資では、投資をしている人の7~8割が実質、赤字ということもざらにあります。ただ不動産投資の場合、投資額が大きい分、リスク発生時の損失額も大きくなりがちなので、その点については十分認識しておいてください。

融資を利用していれば損失額はさらに大きくなる

不動産投資でのリスク発生時の損失額は、金融機関からの融資を利用していると、さらに大きくなります。融資を利用することによって得られるレバレッジ効果は、リスク発生時には逆向きに作用するからです。不動産が十分な収益を生まない状態になっても、毎月の返済は続けなければなりません。

そして毎月の返済が続けられなくなれば、金融機関は担保権を実行し、不動産は安値で売られてしまうことになります。レバレッジ効果がもたらす利益を享受するために、1円でも多く融資を受けることが正解のように言われることが多いのですが、私はそうは思いません。あくまで自分のリスク許容度に応じて、万が一の際にも対処しうる範囲で、金融機関の融資を利用することを強くおすすめします。

知識に基づいて合理的な判断をする

クライアントの方からよく受ける質間として、「どうすれば不動産投資のリスクを最小化できるのか?」というものがあります。投資家らしい非常に素晴らしい質問だと思います。リスクがあることをきっちり認めた上で、「それを最小化するためにできることは何か」を考えようとしているのですから。

こういった質問を受けた際には、次のようにお答えしています。「投資判断を下支えするような知識をたくさん身につけることです。そして、その知識に基づいて合理的な投資判断を行なうことです」

失敗している投資家は何が悪いのか

失敗している不動産投資家のほとんどは、正しい知識を身につけるということを怠っています。そして多くの不動産投資本で語られている、「区分所有マンションより一棟マンションのほうが儲かる」とか、「レバレッジ効果を大きくするために、なるべく借入額を大きくするべき」といった、知識というより、先輩投資家の主張レベルの情報と、せいぜい表面利回りだけを頼りに投資判断を行なっているのです。

考えてもみてください。不動産の収益性を判断するための知識なくして、儲かる不動産とそうでない不動産を見分けることができますか? 法律に関する知識なくして、安全に不動産取引を行なうことができますか? 税務に関する知識なくして、最終的に手元に残る金額の予測ができますか? もちろん、できませんよね。

不動産投資で成功を収めたいのなら、投資判断を下支えするような知識を身につけるという段階を絶対に避けて通ることはできないのです。成功するのは必然的と思えるくらいの知識を身につけましょう。そうすれば高確率で不動産投資で成功することができるはずです。