今回は前回に引き続き優良不動産物件の最短距離をみなさまにお伝えいたします。前回の優良物件への最短距離#1を未読の方は一旦ブラウザバックしていただいてそちらを先にご覧ください。

では本題ですが、みなさまには不動産選びの事例(Aさん、Bさん、Cさん)を踏まえた上でその成功、失敗談を知って頂いて、今後の活動にお役立てできれば幸いです。

経営者による不動産投資の事例から学ぶケーススタディ

<Aさんのケース>

都心から1時間ほど離れた街で、約的人の従業員を抱えるサービス業の経営に携わるAさん。40歳を目前にして子どもができたこともあり、将来の先行きが不安になりました。「現在、私自身の収入は月100万円ほどあります。ボーナスを含めるとだいたい年収1000万~1200万円です。平均年収に比べれば多いかもしれませんが、私たちのような中小企業は、ちょっとしたことでも業績はがくんと落ち込みます。大企業の給与所得1000万円と違って、先行きが明るいとは言い切れません。

そうした中、持っている資産を活用し、本業とはまったく別の収入源を確保しようと考え、Aさんはビジネス書を読み漁ったそうです。半年で50冊以上、年ベースでいうと100冊以上のビジネス書を読みました。不動産投資を筆頭に、化粧品販売業薬、コインランドリー経営、コンテナ倉庫の運営、飲食店、移動販売など、業種をあまり絞らずに、手当たり次第に精力的に学んでいきました。たくさんの書籍を読むうちに、不動産投資に芽があると感じたAさんは、不動産投資セミナーや勉強会に通い始めます。なるべく古い中古物件を購入し、リノベーションをして格付けをしていく方法、都心部の区分マンションを自分でリフォームして転売する方法などがあるなか、Wゲインシート(後ほど解説)を用いた不動産投資法を見つけたそうです。「中古物件の市場は、過熱気味だと思っていたので、とにかくスピードを重視しようと考えました。そこからはビジネス書を読む時間をゼロにして、不動産情報を探し続けました。インターネットを中心に、不動産情報を手当たり次第に探していったAさん。

しかし、なかなか数字の合う物件にはたどり着けなかったようです。考えてみれば、そんなにすぐに見つかるはずがないんです。条件のいい物件なら、オーナーは売りたいと思いませんし、たとえ何らかの事情で売りに出されたとしても、すぐに百戦錬磨の不動産投資家が手を挙げるでしょうから。Aさんはしばらくして、考え方を改めました。「時間があればじっくりと自分で考えながらやって、実績を積み上げていくこともできるかもしれない。

でも、不動産投資はそうではない。どう考えても、じっくりとやっていたら、いつまでも初めの一歩を踏み出せません。それならば、情報を持っている人の協力を仰いだほうが早いはずです。そして、Aさんは物件探しに長けている人を頼り、「優良物件を紹介してほしい」とお願いしたそうです。そこには次のような狙いがあったともいいます。「会社の経営もそうなのですが、自分がやるべき仕事と、誰かに任せる仕事というのがあります。その意味で、自分が素人なりに、時間をかけて物件探しをするよりも、物件探しに長けている人にお願いをしたほうが、時間にレバレッジをかけられます。もちろんAさん自身で、不動産販売会社に行き、物件を紹介してもらったこともありました。銀行にも行き、具体的な融資の話をしたこともありました。しかし、「一見のお客さんはなかなか相手にされないと感じました」とAさんが語るとおり、うまくいきませんでした。

・座学(指南書)だけでは前進しません。専門家の手をかりる手もあります

 Aさんは続けます。「一人だけではなく、不動産投資のお手伝いをしてくれる方は複数人にお会いしました。ある人からはコンサル料として数百万円がかかると言われ、それは無理だとお断りしました実際に購入させてもらったところは、成果報酬というかたちでしたし、良心的な値段だったので、お願いすることになりました。初めにAさんが紹介されたのは、不動産販売会社が売り主の一棟RCマンション。その方が懇意にしていた不動産販売会社のつながりで、物件情報を市場にオープンする1週間前に話がきたものだといいます。Wゲインシート(後ほど説明)に実際に数字を入れてみたところ、投資する価値のある物件であることが判明しました。これでいこうと、すぐに銀行の審査に移りました、とAさん。融資審査に入りましたが初めてということもあり、金融機関の担当者との手続きで時間がかかり、物件情報がオープンになってから動きだした別の投資家に取られてしまったそうです。「本当にタッチの差でした。『別の買い手に決まってしまいました」という連絡を頂いた次の日に、銀行から『審査が通りました』と報告があって……」Aさんの分析では、その投資家は、金利が高いけれど、迅速に審査が終わるノンバンク系だったのではないかと考えています。「売り手の不動産販売会社も、 ○○さんの知り合いなら』ということで、2~3日は待ったをかけてくれていたのですが、それでも勝てませんでした。そのときに、やはり一見さんでは立ち行かないと確信しました。

・投資対象として見据えた物件には目を光らせている競合者が常に存在する

Aさんは引き続き、同じ人にお願いしました。数カ月後、次の物件を紹介されたそうですが、今回は金融機関の担当者にも「迅速に手続きをお願いします」と念押しをしたと語ります。その結果、購入することができました。「その物件の減価償却は22年だったので、20年や25年返済でもいいと考えていたのですが、キャッシュフローを残すために融資期間を30年に設定しました。物件の場所は横浜市です。私が住んでいるエリアではないのですが、東京、千葉、埼玉、神奈川の都心に近い場所なら問題ないと考えていたので、心配はしていません。頭金は物件価格の10%にしました。ちなみに、キャッシュフローを残すという考え方は、今後さらに物件を増やしていく際に有利になるのを睨んでのことだとAさんはいいます。

不動産投資という副業を手に入れたことで、2つの効果を身にしみて感じているとAさんは続けます。

ひとつ目は、精神的に楽になったということ。Aさんは次のように話します、「本業の先行きがとにかく不安でしたから、こうやって別の収入源が手に入ったことですごくストレスが減りました。基本的に経営者といっても、従業員の生活を守らないといけないわけですから、下手なことはできないわけです。冒険ができない。常に何かに縛られている。でも、不動産投資のほうは、自分のお金で自分の責任でやっていることなので、好きにできる。本業と不動産投資で、うまく心の平静が保てるということです。

もうひとつは、視野が広がったということだそうです。副業というか、複数のほうの複業という意味で、自分の経営者としての視野が広がったとも感じています。やはり、普段の仕事ではいつもと同じ相手と仕事をしているわけです。従業員はもちろん、取引先もそうです。そうなると、『景気が悪い』とか『人が採れない』とか、同じような話をずっと耳にし続けるんです。当然、それではどんどん視野が狭くなっていきます。そのようなときに、全く別の業種の人たちと仕事ができると、「自分はなんて狭い世界に生きていたのか』と気づくことができます。もちろんAさんは、これまで培った経営者としての経験を、不動産投資でも役立てています。代表的なのが、物件の周りの掃除についてです。管理会社に一任してしまうのではなく、なるべくお金をかけないよう工夫を凝らしています。「たぶん虫がたくさん出るだろうなと思っていたら、案の定多くて、定期的な片付けが必要だということがわかりました。それで、どのくらいの作業量と時間がかかるのかを調べるために、実際に自分で草むしりをして、ストップウォッチで測りました。そのデータをもとに、シルバー人材センターの契約状況を確認して、これくらいの金額と時間だったら、作業してもらえる人が見つかるだろうという目星をつけて、担当者とも打ち合わせを済ませました。普通、こうした視点を最初から持ち合わせている不動産投資家はいません。さすが、経営者は違うなと感じさせられます。

・本業と組み合わせることで本業の安心材料に

・自身の専門分野を生かした不動産管理及び投資が成功の源

以上がAさんをモデルにした経営者による不動産投資の参考事例になります。個人投資に主眼を置く考え方だけでなく、自身の持ってる強みを生かした不動産投資及びその管理をする考え方もあることが理解できたかと思います。投資全般的に言えることなのですが投資一本に絞ることに固執し、視野が狭まり持ってる強みを生かしきれないことケースが多々あります。もちろん、一つのものに余念なく集中することも時には必要ですが、恒久的かつ汎用性のある自身のノウハウといったものは多種多様な一見無関係に見える経験とのシナジーから確立できるものです。みなさまも常にこれを念頭に置いて不動産投資に取り組んでいただけると幸いです。次回の予告になりますが次回も経営者に学ぶケーススタディというコンセプトでまた成功談を事例を踏まえた上で解説していきます。