二回にわたって不動産投資における人脈の関係性を説明してきましたが、今回は人脈形成を苦手とした方々も少なくはないはずなのでそういった方向けのインターネットを介しても有益な不動産投資が可能であることをお伝えしていこうと思います。

インターネットを介した不動産投資のメリットとは

実はインターネットでも優良物件は見つかるインターネットでも優良物件は見つかります。不動産物件ポータルサイトでも、隠れた優良物件が眠っていることは往々にしてあります。そうしたときに、大事なことはふたつ。

まずスピードです。何度もお伝えしているように、いい物件はライバルがたくさんいますから、いかに早く買いますと手を挙げるか。そして、融資の話を通すかがポイントになります。少し前までは「買います」と申し込みを行った順番が重視されていましたが、私の感覚では数年前から融資が通った順番を優先するようになりました。不動産投資家の数が増えていることや、いろいろなレベルの不動産投資家が出てきたことによって変わった、といのが私の見解ですが、とにもかくにもお金の都合がついた人の優先順位が上ということになってきました。その意味では、もちろん現金(キャッシュ)がいちばん強いわけですが、次に資金調達に見通しがついた人が強いのです。とはいえ、売り手や不動産販売会社も人間関係、業者間関係のなかで生きているので、やはり知り合いに売りたいという側面もあります。ですからスピード=人間関係という部分もありますので、インターネットでいい物件が見つかる可能性があるといっても、不動産販売会社との関係性を軽視していいわけではありません。

不動産会社の優先する顧客

キャッシュが即金で支払える人>資金調達の見通しがついた人

もうひとつ大事なことは、不完全な物件にこそ、優良物件が眠っている可能性があるという視点です。たとえばポータルサイトに掲載されている物件で、売れ残っているものがあったとします。そうした物件のなかには、「ここの数字さえ変われば、買いなのに」というものがあります。極端な例でいえば、「物件価格が1億5000万円から1億3500万円になれば買うのに」といった具合です。そのようなケースで、うまく交渉できるのが経営者です。日頃、本業で培ってきた交渉力で値引きに成功すれば、晴れて優良物件が手に入るというわけです。売れ残っているのには、理由があります。

その理由を知恵と工夫で解決できれば、まったく問題ないわけです。交渉の仕方は、売れ残っている原因を指摘していく、というようなやり方ではありません。「自分はこういうスタンスで不動産投資をしている。この物件は、立地も築年数も理想に近いのですが、物件価格が想定よりも300万円高いのです。ですから、あと300万円安くなれば買います」と直接、伝えるだけでいいのです。このときに、「安くなったら検討するんですが」というような中途半端なことではなくきっぱりと「○○円安くなれば買う」と断言することです。もちろん売れ残っている原因が心配だという人もいるでしょう。たとえば、踏切が近くにあって、音と照明が気になるという物件だったとします。それならば、遮光カーテンを設備として入れ、防音設備を入れればいいわけです。その2つに300万円がかかるならば、300万円が値引きできればいいですよね。ただし、気をつけないといけないのは、「買います」と断言しておきながら、値引き交渉後に「買わない」と態度を翻した場合、間に入ってくれた不動産販売会社との関係性にヒビが入ります。特に私がお勧めしたようなあまり大きくない規模でやっている不動産販売会社は、人間関係のなかでうまく商売をしているところばかりです。そういう相手の顔をつぶしてしまえば、その後の関係はなくなってしまいます。

インターネットを介した不動産投資のキーポイント

・人脈形成を必要とする不動産投資同様にスピード勝負が求められる

・オンラインにこそ眠っている優良物件が数多存在している

指値におけるポイント/考え方

一般的に、こうした価格交渉は指値と呼ばれるものです。基本的には、ライバルがいないのならば、指値をしてもいいでしょう。

では、どうすれば指値は成功するのか考えてみますキーを握るのは、売り手との間に入っている不動産販売会社です。なぜなら実際に値引き交渉をするのは、皆さんではなく不動産販売会社だからです。ですから、まずは不動産販売会社に対して「この物件は安くなる可能性があると思いますか?」と聞きます。そこで嫌な顔をされたら、きっぱりと諦めます。「いや、ここは可能性あると思いますよ」と前向きな答えがきたら、具体的に値引きを進めます。このワンクッションはすごく大事です。

ただし、関係性が希薄な不動産販売会社だと、本音を引き出せないケースも多いですので、個人的な人間関係をしっかりと築いていることが前提になります(ちなみに私は、そこまで頻繁にではありませんが、懇意にしている不動産販売会社の担当者を食事に誘ったり、ちょっとしたお礼として、いつでも渡せるよう複数のクオカードを財布にストックしています)。そして、不動産販売会社のハードルを越えたら、実際の指値に入りますが、ここでは数字(値引き額)だけを伝えるのではなく、根拠も伝えるようにします。「利回りを、想定している10%に乗せるためには、あと500万円の値引きが必要です」「銀行が1億円までしか融資してくれないんです」といった具合です。また、その物件が値引きしやすいかどうかを見極められれば、もちろん値引きの可能性は高まります。値引きしやすさを見抜く方法のひとつは、売り主の売却理由を探ることです。「早く現金化したい」という場合、値引きの可能性は高まります。特に相続によって手に入れた物件で、相続する人数で分割する場合、現金の方が容易であり、加えて物件の購入価格や売却価格の相場を把握していないケースが多いため、値引きの可能性は高いといえます。そのほか、長く売れ残っている場合や元住民の物が置いたままである場合、空室が多い物件、さらに物件のメンテンナンスが行き届いていない場合にも、値引きの可能性は高まります。格安でメンテナンスしてくれる業者と知り合いであれば、一気に優良物件に近づくといえます。