新築物件の特徴
これまでの記事では基本的に中古物件の不動産投資を念頭に話を進めてきましたが、ここで新築物件について触れておきましょう。新築物件のメリットとデメリットとしては次のようなものがあります。
メリット
長期運用が可能
新築物件は建物の耐用年数がまるまる残っているので、長期運用が可能です。
融資が利用しやすい
金融機関は新築物件に対しては積極的に融資をしてくれる傾向にあります。新築当初は故障等のトラブルが少なく、安定的に収益を生み出せると考えているためでしょう。区分所有マンションであれば販売会社、一棟ものマンション·アパートであれば建築会社が金融機関と太いパイプを持っていることも融資が利用しやすい一因です。
管理の手間がかからない
物件内での故障もほとんどなく、入居期間も長くなる傾向にあるので、管理の手間はほとんどかかりません
節税効果がある
新築物件の場合、建物減価償却費が大きくなるため、節税効果があります(建物減価償却費は、実際に支出がある費用ではない)。不動産所得で赤字が出た場合には、給与所得と損益通算ができるため、すでに納めていた税金の還付を受けられる可能性もあります。
デメリット
価格が高い
新築物件の場合、価格は当然、高くなります。
利回りが低い
購入価格がいくら高くても、賃料は中古物件に比べてそれほど高く設定できないので、利回りは非常に低くなります。新築区分所有マンションの場合、実質利回りが2%程度になってしまうことも決して珍しくありません。
収益ゼロからスタート
新築物件では当初は入居者がいないので、収益ゼロからスタートすることになります。当初想定家賃で借主がつく保証もないので、収益性については予測がつきにくいといえます。
不動産価格を判断するための方法
不動産価格を判断するための方法としては、以下のようなものがあります。
取引事例から判断する方法
同じような地域にある同じような用途、グレード、築年数の不動産と比較して価格を判断する方法です。不動産を購入しようとする人は、少なからず、周辺不動産の価格相場をチェックしていることと思います。そういう意味では、ほとんどの不動産購入者が実践している価格判断の方法といえます。この方法では、なるべく多くの取引事例を集めて比較検討することで精度を高めますが、収益物件の場合、自己居住用物件ほど似たような条件の取引事例が見つけられるわけではありません。そのため、ある程度柔軟に、その範囲を考える必要があります。
原価から判断する方法
その不動産をゼロからつくるとすればいくらかかるのかを計算し、そこから建物の減価償却分を差し引いて価格を判断する方法です。建物部分の価格は下図のような式で計算できます。土地部分の価格は、単純に土地面積に㎡単価を掛ければ求めることができます。価値の目減りはないので減価償却分を差し引く必要はありません。

収益性から判断する方法
収益性から価格を判断する方法は、収益物件の購入を検討する際には、もっとも重視すべきだといえます。収益性から判断する方法には直接還元法とDCF法(ディスカウンテッド。キャッシュ。フロー法)がありますが、DCF法は、保有期間中に受け取る収益をすべて現在価値に割り引いて合算し、価格を求める方法です。貨幣価値は今年より来年、来年よりは再来年という具合に徐々に減っていくため、割り引く必要があるわけです。