はじめに

自己資金で投資をはじめる不動産投資初心者に向けて、不動産投資を成功するためのカギを「資産性」「収益性」の2回に分けて解説してまいります。
1回目となる本記事では「資産性」について記載いたします。「収益性」についての記事はこちらからご覧ください。

不動産投資の考え方

不動産投資には、区分、戸建て、アパート、マンション、地方、都市圏、築古、新築など実に多くの選択肢が存在します。
当然、投資の目的によって何が最適かは異なってきます。投資を検討する際の指標も、利回り、キャッシュフロー、キャップレートなど多岐にわたりますし、不動産会社のコンサルタントによっても、さまざまな見解があると思います。理想的な物件像を作り上げたはいいけれど、なかなかそんな物件に出会えないという方もいらっしゃるかもしれません。
投資すべき対象を考えるうえでは、まずシンプルに 【資産性】【収益性】という2つの要素に分解して考えることをお勧めしています。これによってメリット、デメリットがより鮮明になるからです。

資産性の高い不動産投資とは?

まず【資産性】が高いとはどういう意味でしょうか。
さまざまな要素がありますが、一つは、現在の金融機関による担保評価の際の最重要指標である「積算評価が高い」ということが挙げられます。積算評価が高いことによる、保有期間中のメリットとしては、返済が進んでいる物件の担保余力を利用して、ほかの物件を購入する際などの資金調達に充てやすいということがあります。
また、売却を考えた際も、その物件自体の資金調達力が高いことで、買主となる方の個人属性の縛りが少なくなり、短期間で、より良い条件で販売することが可能となるケースが多いです。
逆に、借入金額に対し、担保評価が低い物件を保有している場合、別の物件を購入しようとした際に、金融機関からの評価がマイナスになることもありますし、売却の際にも買主候補がなかなか現れず苦労することもあります。

つい数カ月前、新型コロナウイルスの影響を受け、都内に緊急事態宣言が発令されたときのことです。ある物件の販売を開始したところ、問い合わせが殺到し、すぐに売却が決まるということがありました。社会情勢という面では、あらゆることに対して自粛の流れがあった最中にもかかわらず、驚くほどスピーディーに売却に至りました。
そのポイントは、やはり担保評価だと考えています。本物件は、埼玉県のマンションでしたが、「積算価格」が販売価格を上回る物件だったのです。このように担保評価が高く、資産性の高い物件は、世相とは関係なく 「買いたい」という人が現れることを改めて実感する取引となりました。ただし、この場合にポイントになるのは、当然ながら “購入時“の資産性ではなく、”換金を考えたとき“の資産性です。そのため、長期的な視点で考えることが大切です。

土地評価と建物評価

積算評価のうち、土地の評価額は、一般的に、路線価×土地面積で算出されます。路線価は相続税評価の基準として3年に1度評価の見直しがありますが、基本的には公示価や固定資産税評価の変動に応じて評価変えがあります。
一方で、建物評価は、再調達原価と耐用年数を基準としているため、築年数が経ては経つほど確実に目減りしていくものになります。少し話が逸れますが、この、法定耐用年数という考え方について、私は、すでに破綻が見えてきているルールだと考えています。例えば鉄筋コンクリート(RC)造の物件は、構造上は100年の耐久性があるといわれていますが、「法定耐用年数上は幻年で価値が0円になる」という設計になっています。
このルールでいけば、「新耐震基準を満たしていて、まだあと0年は使えるマンションの担保評価がまったく出ない」もしくは「極端に短い融資期間しか設定できない」という案件が大量発生することになります。そんな事態に陥っては、日本の経済も大きな打撃を受けるわけで、近い将来、このルールの改定が起こると考えています。
そして、このルールが変わったとき、バブル期に建てられた仕様のいいRC造マンションの価格が大きく見直されることになると考えており、投資家の方にとっては大きなチャンスになると思います。

次回は”不動産投資のカギとは? -収益性編-”です。
最後までお読みいただきありがとうございました。