はじめに

自己資金で投資をはじめる不動産投資初心者に向けて、不動産投資を成功するためのカギを「資産性」「収益性」の2回に分けて解説してまいります。
2回目となる本記事では「収益性」について記載いたします。「資産性」についての記事はこちらからご覧ください。

不動産投資は利回りがすべてではない

過去を振り返ってみれば、バブル期の不動産投資は「売却益」を得るという目的でした。つまり、この時代の収益性とは、どれだけ不動産が値上がりするのかということです。それくらい不動産価格が上昇することが当たり前と考えられていた時代でした。
これが2度のバブル崩壊を経て、今は保有している間の収益、「運用益」が重要視されるようになりました。「運用益」というと、物件購入価格に対して見込める家賃収入はいくらなのか?という、いわゆる「利回り」をイメージされる方が多いと思います。
もちろん、それも重要な指標です。しかし不動産の運用、つまり賃貸不動産経営にあたっては、保有している期間のなかで、最終的に利益がどれだけ残るのかがポイントとなるわけなので、収入面と支出面を長期的視点に立って分析することが重要です。
具体的には、「継続して賃貸需要が見込めるのか」「家賃の下落リスクはどうなのか」といった収入の安定性や、空室が出た際の原状回復、入居付けにかかる費用、長期間物件を保有するにあたっての修繕費などです。

資産性と収益性は相反するもの?

ここまで、資産性と収益性について見てきましたが、どちらも高い物件というのは存在するのでしょうか?
一般的に、資産性と収益性は相反する要素です。資産性が高ければ、担保評価も高く、売買価格も上がる傾向にあります。売買価格が上がれば、相対的に年間家賃収入の割合が下がるため利回りは下がりますし、反対に資産性が低ければ利回りは上がる傾向にあります。
資産性と収益性はどちらも高いことが望ましいですが、相場、市場の原理が働く以上、資産性の高い物件を高利回りで購入することは難しいというわけです。


そこで、その2つのバランスを見て落としどころを見つける必要があります。もちろん、ご購入される方の資産背景や、投資目的によって何を重視すべきかは変わります。例えば、「相続税対策であれば、収益性よりも土地面積や相続税評価重視」であったり、「エリアにこだわりのある場合は、一般論としての資産価値を求めない」などがあります。
本記事では、本業でのご活躍を主軸として、安定的に資産を築きたいとお考えの方々に向けて、「資産性と収益性のバランスが取れた物件を狙う」ことをお勧めしています。
投資をする以上、当然収益性は大切です。毎月の家賃収入から金融機関への返済や諸経費を差し引いたうえで、手残りが見込める程度の収益性は確保すべきだと考えています。
ただ、「見込みの総収入」だけを追求した物件選びをしてしまうと、購入後に多額の修繕費用がかかってしまったり、見込んでいた稼働率をキープできずに返済が滞ってしまったりするケースも多くあります。それにより、本業に悪影響が及び、それまでの生活が脅かされる、といったリスクは冒すべきではないと考えています。加えて、自然災害や異常気象、疫病など、想定外の事態が目まぐるしく起きている現代。本業とされている事業やお仕事も、いつどのような影響を受けるか読み切れないという面が少なからずあるかと思います。
万一、本業での収入が減ってしまった際に大金ではないにせよ、毎月安定的に入ってくる家賃収入や、担保評価が高く、いざとなったら換金できる資産があるということはとても大きな支えとなります。