キャッシュフローの分類
キャッシュフロー計算書に記載されるキャッシュフローには二種類あります。営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローです。営業CF、投資CF、財務CFなどと略記されます。
営業CFは、事業活動(こよって得たキャッシュフローの出入り、すなわち現金ベースの儲けです。事業の儲けを示すためには損益計算書が存在しますが、これは前述の通り、必ずしも現金の出入りとはー致しないので、その点を補正したものが営業CFです。
次に、事業において投資に使った資金の出入りを示すのが投資CFです。各年の貸借対照表(BS)にはその残高が記載されますが、いくら使ったのかというキャッシュフローは、今年度のBSにある投資などを示す項目の残高から前年度のBS残高を引いてみないとでてきません。その数字を表しているということです。
財務CFは、借入をしたり増資をしたりといった資金調達における資金の出入りを示します。こちらも貸借対照表の今年度と前年度の差額を表します。これら三つのキャッシュフローの合計は、企業が持つ現金残高となります。
ただし、有価証券報告書上などでは定義が異なるなどでー致しないのが普通です。
フリーキャッシュフローは企業価値の源泉
事業から流入するキャッシュフロー(CF)から、その事業を維持するのに必要な流出分のCFを除いたものをフリーキャッシュフロー(Free Cash Flow,FCR)と呼びます。
有価証券報告書などにはこの数字は出てきません。簡便に求めるとすれば、先ほどの営業CFから投資CFを引いたものとなります。
ただ、投資CFには既存事業を維持するための投資も、新規の事業投資もー緒に入ってしまっているので、本来は前者だけを差し引く必要があります。
また、以下のような定義で算出することもあります。流入から流出を引いていることに変わりはありません。
EBIT×(1-実効税率)+減価償却費土運転資金増減–投資額
※EBITとは税引き前、金利支払い利益を指す。
なぜ、この数字が重要なのでしようか。事業活動を行って得た結果、流出よりも流入が多かったのであれば、それこそ、その事業が生み出した新たなおカネであり、事業を行うことによって新たに得られた価値だからです。
この新たな価値であるFCFは、経営者、株主、債権者の三者で分け合うことになります。債権者の返済はすでに契約で決まっているのでそれらを除くと、残りは元手を出した株主のものです。
しかし、いちいちすベて株主に還元していたら次への再投資ができません。したがって、経営者としては将来の予測を示した上で投資の妥当性を明らかにし、資金を使うことについて株主を説得しなければなりません。