クラウドファンディングとは

クラウドファンディング(crowd-funding)の文字どおりの意味は、多くの人々(crowd)から資金調達を行うこと(funding)ですが、クラウドファンディングの大きな特徴は、資金提供者の応募と資金提供者から資金需要者ヘの資金提供等が、仲介事業者が設置したオンラインプラットフォームを活用して行われる点にあります。

クラウドファンディングは、特定のプロジェクトや新規事業の資金調達に活用されています。その資金使途は、ベンチャー企業の研究・開発、ソフトウェアの開発、映画の制作からアーティストのサポート、さらには災害救援、防災事業とさまざまな分野に渡っています。

日本におけるクラウドファンディングは、東日本大震災後の募金運動に活用されたことから多くの人々の知るところとなり、その後、社会貢献や数々のプロジェクトの資金調達に活用されています。

クラウドファンディングの市場性

クラウドファンディングの役割

クラウドファンディングは、主として中小企業の資金調達の円滑化に資するポテンシャルを持っています。

すなわち、クラウドファンディングには、優れたアイデイアや技術を持っているものの金融機関から十分な資金が借りられないといった企業と、資金の提供対象企業の先行きの成長からリターンを得たいとする投資家とをマッチングさせる機能があります。また、クラウドファンディングは、リスクマネーを引き出す働きをする、ということもできます。

クラウドファンディングの分類

クラウドファンディングは、資金提供者に対するリターンの有無やリターンの種類によって金融型、購入型、寄付型の3つに大別することができます。

金融型

金銭的なリターンを得るタイプです。金融型はリターンの種類によって、さらに次のように分類されます。いずれのクイプも金融商品取引法の規制対象であり、仲介事業者は第二種金融商品取引業者として内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。

ファンド型

資金提供者が資金調達者と匿名組合出資契約等を締結して資金を提供、分配を受けるパターンです。匿名組合契約のケースでは、資金調達者が営業者、資金提供者が匿名組合員となります。そして、営業者は出資金を活用して事業を行い、契約時に決められた計算式に従ってー定期間、匿名組合員に分配金を支払います。また、匿名組合員に営業者の製品等を提供するといった特典が付与されていることが少なくありません。

株式型

資金提供者が資金調達者に資金拠出するのと交換に株式を受け取る形で資金を提供し、配当を受けるパターンです。この株式型は、2015年の金融商品取引法の改正に伴い、日本証券業協会の自主規制の見直しがあって新たに可能となったもので、証券会社は発行総額や投資者1人当り投資額が少額である場合に限り、非上場株式の取扱いが認められることとなっています。

融資型

貸金業法上の契約に基づき、資金提供者が融資し、元利金を受け取るタイプで、なかには、金利はなく元金だけ返済を受けるパターンもあります。

フィンテックによる融資カテゴリーとして、P2Pレンディング、マーケットプレイス貸出、バランスシート貸出があります。このうち、P2Pレンディングやマーケットプレイス貸出は、主として欧米で行われているタイプです。

ソーシャルレンディング

フィンテックによる融資のカテゴリーを総称した用語です。

P2Pレンディング(Peer-to-Peerレンディング)

フィンテックベンチャーがオンライン上でプラットフォームを提供して、それを介して借り手と貸し手が融資を行うパターンです。

マーケットプレイスレンディング

フィンテックベンチャーが提供するプラットフォームをマーケットプレイスと呼ぶことから、こうした名称となっています。基本的に、P2Pレンディングと同義ですが、マーケットプレイスレンディングでは機関投資家が貸し手になるケースが少なくありません。

バランスシートレンディング

フィンテックベンチャーが単にプラットフォームを提供するだけではなく、自らが借り手となって投資家から資金を集めて、その資金を借り手に貸し出すという融資カテゴリーです。この場合には、フィンテックベンチャーのバランスシートの貸借に計上されることから、こうした名称となっています。

選択型

クラウドファンディングを提供するプラットフォームのなかには、投資家に対して、融資をするか株式投資をするかの選択肢を提供するタイプも出現しています。

ベンチャー企業に対する投資といっても、さまざまなリスク選好を持つ投資家が存在します。そこで、Bnk To The Future (旧名Bank To The Future )は、多くの投資家から資金を集めるために、投資家のリスク選好により融資をするか株式投資をするか選択ができるプラットフォームを提供しています。

購入型

民法上の売買契約に基づき、資金提供者が資金拠出の対価として商品やサービス、制作に参加する権利等を取得するパターンです。購入型は、eコマースに属するタイプで、報酬型とも呼ばれます。

このタイプによるプロジェクトの具体例としては、新製品開発、地元産品振興、映画作品、アート作品、音楽、書籍、ゲームソフト等があります。こうしたなかには、実質的に寄付の性格を持つものとか、新製品のテスト販売の性格を持つものがあります。

寄付型

リターンがない寄付行為のパターンです。支援者は、プロジェクトヘの貢献を資金提供の形で行い、資金調達者から支援者に資金の活用状況等を知らせるニュースレターが送付されます。

このタイプによるプロジェクトの具体例としては、被災地支援や、難病患者支援、芸術、スポーツ活動、新興国支援等があります。

クラウドファンディングのプレイヤー

クラウドファンディングのスキームにおける主要なプレイヤーは、資金調達者、資金提供者、それにプラットフォームを提供する仲介事業者です。そして、フィンテックベンチャーが仲介事業者となります。

資金調達者

プロジェクトの起案者です。起案者、クリエー夕一、プロジェクト実行者、プロジェクトオーナー、キャンペーンオーナー等と呼ばれています。

資金提供者

プロジェクトに対する資金の供給主体です。

投資型の場合には、投資家、出資者と呼ばれ、ファンド型では匿名組合の契約当事者として営業者と呼ばれることもあります。

また、購入型は、購入者と呼ばれます。一方、寄付型は、支援者、寄付者、サポーター、パトロン等と呼ばれています。

仲介事業者

資金調達者と(潜在的)資金提供者に対してwebサイトを提供する仲介事業者です。サイト運営者とかプラットフォーム事業者、プラットフォームと呼ばれることもあります。

クラウドファンディングの手順

以下では、クラウドファンディングによりプロジェクトの資金調達が成立するまでのプロセスを、ステップバイステップでみることにします。

資金調達者によるwebサイトヘの掲示申込み

まず、プロジェクトの起案者である資金調達者が、webサイトを運営する仲介事業者に対して、資金調達の掲載の申込みをします。その際、主として次の項目の内容を明らかにする必要があります。

・起案者のプロフィール

・プロジェクトの内容や規模

・完成時期

・資金所要額

・調達構成(自己資金、借人れ、出資等)

・調達コスト

・資金募集期間

・目標額

・申込金額単位

・資金提供者のリスクと予想リターン等

仲介事業者による案件審査

仲介事業者は、起案者からの申請に基づいて案件の審査を行います。審査は、主として起案者から提供された国の情報をもとに実施しますが、必要に応じて起案者にインターネットを介してコンタクトして追加情報を入手することもあります。

仲介事業者によるwebサイトヘの掲載

仲介事業者は、審査をクリアした案件をwebサイトに掲示します。掲載項目は、主として国の内容ですが、その他、仲介事業者が起案者から得た情報も必要に応じて適宜掲載することがあります。

資金提供者による申込みと資金提供

資金提供者は、webサイトに掲載された情報をもとにして融資、または出資を申し出ます。そして、仲介事業者から資金提供の受付の連絡があったら、振込みやクレジットカードにより資金提供を実施します。なお、仲介事業者は目標額に対してどこまで資金が集まっているかを、リアルタイムでwebサイトに掲載することが 一般的です。

また、金融型や購入型では、資金募集期間終了までに資金提供の総額を当初設定し、公表した目標額に未達の場合には、プロジェクトが魅力を持つものではなかったとして、仲介事業者から資金提供者にすべて返金する「All or Nothing方式」をあらかじめ条件として設定しているケースが少なくありません。

起案者によるプロジェクトの実行

起案者は、資金提供者等の資金を元手にして、プロジェクトを実行に移します。

分配金、元利金の支払

資金提供が寄付型以外の投資、融資、購入型の場合には、資金提供者に分配金、元利金の支払や、商品·サービスの提供が行われます。

このうち、分配金、元利金の支払については、仲介事業者が計算、支払の手続きを代行することがー般的であり、商品やサービスの提供については起案者から資金提供者に確実に実行されているかを仲介事業者が監視します。

起案者から仲介事業者ヘの手数料等の支払

プロジェクトの起案者は、仲介事業者に対してシステム開発費、サーバコスト等のインフラコストと決済手数料を支払います。

また、こうした手数料のほかに、起案者から仲介事業者に対して、資金調達額に応じた成功報酬を支払うことがー般的です。

クラウドファンディングにおけるプロジェクトの選別

クラウドファンディングにより資金の募集を要望するプロジェクトには、質の悪い案件も混在する可能性があります。そうしたプロジェクトの選別は、まずプラットフォームの運営者である仲介事業者により行われます。

フィンテックによるリスクの把握

中小企業向けの投融資では、特にリスクの把握が重要となります。フィンテックのテクノロジーは、企業の会計データやそれまでの金融機関の融資に関わるデータ等、各種のデータを統合して的確にリスクを把握する、といった大きな強みを持っています。

資金提供者によるプロジェクトの選定

そして、プロジェクトの内容がwebサイトに掲示されると、不特定多数の人がこれを閲覧して、そのプロジェクトに資金提供するかどうかを判断します。その過程において、閭覧者が疑問に思ったこと等をwebサイトを通じて質問し、これに資金調達者が答えるといったことも行われています。また、プロジェクトの資金調達額の動向は、ほぼリアルタイムでwebサイトに掲示されることがー般的であり、資金提供者は当該プロジェクトの人気度をみながら実際に資金提供するかどうかを判断することができます。

クラウドファンディングのメリット

クラウドファンディングは、インターネットの発達、普及といった環境変化を最大限活用することにより、きわめて効率的に資金の調達、運用を可能にする途を切り拓いた、ということができます。

これを、プロジェクトの起案者のサイドと資金提供者のサイドに分けてみると、主要なメリットは次のように整理することができます。

プロジェクトの起案者にとってのメリット

・魅力あるプロジェクトを持ちながら知名度がないこと等から、金融機関やー股の投資家からの資金調達が困難な起業家であっても、インターネットを活用することで幅広い資金提供者から資金を集めることが期待できます。

・web、メールに限定した効率的な募集活動により、資金調達に要するコストを低減させることができます。

・サイトを通じて、資金提供者のニーズや開発予定の商品、サービスがマーケットで受け入れられるか否かの感触を汲み取って、それをプロジェクトに反映させることができます。

・プロジェクトが完成して商品化された場合に、クラウドファンディングによりプロジェクトに投融資した資金提供者が、当該商品等の継続的なクライアントになることが期待できます。

資金提供者にとってのメリット

・少額の資金で、融資や出資をすることができます。少額資金での投資手段には投資信託がありますが、投資信託は具体的な運用をファンドマネージャーに委ねることになるのに対して、クラウドファンディングでは資金提供者が自らの判断で個別のプロジェクトを選択することができます。

・資金提供者は、仲介事業者が提供するwebサイトを通じて、資金需要があるプロジェクトの内容を容易に把握することができます。特に、創業間もないベンチャー企業ヘの投資は、実際にプロジェクトの内容や起業者のプロファイル等を資金提供者自身の目でみることが重要なポイントとなります。

この点、サイトを通して情報を入手できることが大きなメリットとなるクラウドファンディングでは、資金提供者にとって地理的に離れているという障害が排除されることになります。実際のところ、米国ではクラウドファンディングを活用した創業間もない小企業に対する投資の最も大きな特徴は、投資家が地理的に広範に渡って分散していることにある、との実証研究結果があります。

・個人が、個別の企業、プロジェクトに資金を提供する場合には、当該企業の信用度合いやプロジェクトの内容等を審査して、資金提供の是非を判断する必要がありますが、実際にはそうした審査機能は融資の場合には金融機関が、また投資の場合には不特定多数の投資家が参加するマーケットが行う形をとっています。

しかし、クラウドファンディングは、インターネットにより個別企業やプロジェクトの情報が文字だけではなく画像、動画等でサイトに掲載され、また資金提供者が必要とする追加情報もFAQやメールの交信により容易に得ることが可能となっています。こうしたことから、従来に比べると資金提供者にとって個別の企業の信用度合い、プロジェクトの成長性等を独自に判断する材料を数多く取得できる点が大きなメリットである、ということができます。

そして、こうした材料をもとにして、資金提供者である個人が直接、リスクを把握して投資判断をすることから、自己責任により企業やプロジェクトのリスクを的確に把握することがきわめて重要となります。

・寄付型では、資金提供により被災地支援、社会貢献等を行ったというI蕾足感が得られ、また、投融資型であっても、たとえば資金調達難に悩むベンチャー企業の創業者の志を達成させるために支援するというように、金銭面だけではないやりがいを得ることが期待できます。