今回は学生ながら、TLMにキャピタリストとして参画し、to Cのウェブサービスを中心に様々なシードベンチャーに投資を行う岡澤さんに取材させていただきました。岡澤さんにはシードベンチャーの資金調達をテーマに伺ってみたいと思います。

ベンチャーキャピタル インタビュー VC ファイナンス スタートアップ

 

Q:どのようなことがきっかけでVCに参画することになったのですか?

A:上司の誘いがきっかけでした。もともとビジネスコンテストに関わっていた縁で、IT系ベンチャーにインターンとして入社し、その時からお世話になっていた人について行く形でCVCに関わることになりました。

Q:前職ではどのような投資を行なったのですか?

A:主にシードからシリーズAに投資を行いました。投資の意思決定を行ったのは14件で、B to BからB to Cまで幅広く投資を行いました。決済サービスを展開する会社やシェアアプリを展開する会社、Iotによるホームセキュリティアプリを運営する会社に投資をしてきました。

Q: 投資を行うまでにどれくらいのベンチャー企業と面談をされたのですか?

A:200件のベンチャー企業とは面談したと思います。僕はこれまで、シードステージのベンチャーを中心に投資を行ってきましたが、起業家と会ってみないことには何もわかりません。

競合のVCも増えている中で、投資を提案してくれるだけでもありがたいという気持ちは常にありますね。「起業家に選ばれるVCになるために」という考え方は非常に大事にしています。

Q:投資提案を受けるVCとして、最低限おさえてほしい事項はありますか?

A:まず、自分の事業に対して解像度が低いとNGになりがちですね。僕らはto C事業を専門に投資を行っていますが、例えば市場動向やユーザー行動などは(当たり前ですが)徹底的に説明できるようにしてもらいたいです。

もっと言えば、「これから作るサービスについて、そのサービスがもたらす価値は、現状どのようなものが代替しているのか」を落とし込んで欲しいです。

また言い換えると「そのサービスの登場によって、マーケットにどのようなインパクト(ソリューションや価値)を提供できるのか」をしっかり伝えられるようになって欲しいです。

次に創業時点での資本政策で失敗している企業はかなり苦しいです。そもそも法人登記する前にVCに相談していただきたいですね。これはIPOなどに向けた全体設計を行う上で最初が一番肝心だからです。

Q:資本政策において、NGなものとしてはどのような例がありますか?

A:ありがちな例では、特に若手起業家で気をつけたいことですが、代表者とNo.2の人で株式のシェアが折半(50%-50%)されていたり、株主間契約(株主である創業時のメンバーその他経営陣の間で、一方がやめる場合は一方に自動的に株式を譲る契約など)が結ばれていないと、それだけで投資のハードルが上がってしまうことがあります。

これは非常に重要なことですが、とにかく起業をしようと思った時、投資を受けたいと思った時はできる限り、早い段階で相談に来ていただきたいです。

Q:デューデリジェンス等を経て、いざ投資をしようした時、どれくらいの規模で交渉を行うのですか?

A:1000万円〜2000万円の投資の規模感で、株式シェアを10〜15%をいただくのがスタンダードですね。

また現在、TLMとしてはシードベンチャーを中心に投資を行なっていますが、ビジネスモデルや経営者に強い魅力を感じたら、その時点でサービスをリリースしていなくても投資を行います。

Q: TLMとして、投資以外にはどのようなサポートを展開されていますか?

A:TLMのサポート軸としては3点あります。サービス設計に対するアドバイス」「次ラウンドに向けたファイナンス支援」「起業の相談・登記など手続き、事業計画作成、資本政策などの総合的な創業支援」ですね。弊社のGPを務めている木暮はto Cビジネスに非常に詳しいので、その知見を活かしてアドバイスを積極的に行います。

Q:最後に、岡澤さんから見た、優秀な経営者の共通点を教えてください。

まず「第三者からの意見をしっかり受け止めて、行動に生かす素直さ」ですかね。また「マーケットの中でどうしたら勝てるかをしっかり理解し、説明できること、つまり数字の強さ」も非常に重要です。あと、「いい意味で抜けていたり、空気が読めないサイコパス的な一面」を持つ起業家は何故か強い気がしています(笑)。

 

岡澤雄介氏 プロフィール
TLM アソシエイト
大学に入学後、IT系ベンチャー企業にインターンで入社。同社では人事を担当。その後、CVCに異動し、VC事業に従事。現在も大学に通いながらフルタイムでVCにキャピタリストとしてTLMに参画。
Twitter:@zawashi9