今回はミシガン大学在学中に、起業とバイアウトを経験し、現在は投資家としてベンチャー企業、上場株式、不動産に投資を行いながら、台湾系大手企業にて新規事業開発担当としてグローバルに活躍するWiseさんに取材をさせていただきました。Wiseさんには起業家としてのこれまでのあゆみと共に、イケてるベンチャー経営者の見極め方について伺ってみたいと思います。

エンジェル 投資家

Q:まず略歴を伺ってもよろしいでしょうか

A: アメリカの大学を卒業後、そのまま大学院でレーザーを専攻していました。大学在学中では立ち上げた会社をベンチャーキャピタルに売却することを経験できました。また大学院の時に参画していたプロジェクトはノーベル賞を獲得しました。修士課程の院生だったので、「教授の部下のアシスタント」くらいの立場でしたが。(笑)

その後、東芝を経て、エンジェル投資家をしながら、台湾系メーカー社長室にて、新規事業の立ち上げとグローバル戦略の立案を担当しています。

Q:そもそもWiseさんはどうして、日本の企業を選んだのですか?

A:家系的に日本は親しく、もともと興味があったことと、大学に在学しながら、起業していた時に日本人にとてもお世話になり、日本の会社で何かしてみたいと考えるようになりました。

 Q: そこから、エンジェル投資家としての道を選ばれたのは、どのような思いがあったのですか?

A: 起業した時にベンチャーキャピタルが非常に協力的だったこと、ベンチャー企業におけるチームビルディングが好きだったこと、世の中を変えるのはスタートアップ企業であると考えていたことが大きかったと思います。

Q:エンジェル投資家になるべく、どのような取り組みをされたのですか?

A: ベンチャー企業や投資家とのネットワーキングのために日本の経営大学院に通いました。あとは車が好きなので、日本一周してベンチャー企業を探したり、その地域の人と会ってみたり、勉強していました。(笑)

エンジェル 投資家

Q:起業のエピソードをお伺いさせてください

A:大学の在学生用の中古品の交換プラットフォームとして「トレードバーシティ」というサービスを開発しました。卒業生は捨てたいが、入学生は買いたいもの、例えば教材や家具、自動車などを学生間のフリーマーケットとして売買できるサービスです。

学生にとっては1冊2〜3万円する教材を1000〜5000円で買えるようになり、とても喜ばれました。当時、学生同士の物販サイトは流行していましたが、競合のサービスは検索機能がない、ユーザーの信頼度が低いなど、多くの課題があったため、有利に事業展開をすることができました。

きっかけは大学のビジネスコンテストで、上位入賞したことでした。大学とベンチャーキャピタル共同傘下のプロジェクトとしてスタートしましたが、メインは大学の授業がない5ヶ月の夏休み期間に取り組みました。

また、それまでの1年間は、共同創業者とビジネスモデルを作ったり、自分でデータベースを作っていました。キャンパス内を歩き回り、印刷したチラシを配ってPR活動なども行いました。

Q:順風満帆に見えますが、特にどのようなことが大変だったでしょうか?

A: 事業の準備と授業の両立で全然休みがなく、寝る時間すら確保できないことでした。授業ごとに下位30%は自動的に落とされるシステムだったため、必死に事業も授業も必死に取り組みました。

Q: エンジェル投資家として、優秀なベンチャー経営者はどのように判断しますか?

A:ハードスキルとソフトスキルの2面から検討します。

ハードスキルとは⑴ビジネスモデル、⑵ファイナンスモデル、⑶業界、技術、コアバリューなどに関する知識に関するロジックが一貫しているか、です。これは全体の評価の30%を占めます。

ソフトスキルとは⑴ビジョン・動機、⑵人柄、器の大きさ、人としての強靭さ、⑶事業として社会を想っているか、です。

まず、なぜビジョンや動機が「スキル」かというと、動機の整理ができている人じゃないと固い意志とビジョンを持てないからです。また「お金とビジョンを天秤にかけさせる」質問をするとその人の価値観がわかります。これはアントレプレナーとしての資質を判断する質問として非常に有効です。

次に、人柄、器の大きさ、人としての強靭さについてですが、まず単純に「ケチな人は成功しない」と考えています。価値あるものにしっかり対価を払えるか否かとも言えますね。スタートアップの最大の資産は人であり、ケチな人間に人は集まりません。これは「どこでお金を使っているか」ということを聞くとよくわかります。

人としての強さは会話の中で判断します。「プレッシャーテスト」といって、「逆境の中で、仲間を捨てないか」どうかを判断します。ロジックやビジョン、キャラクターなどを判断基準に、身の周りの話をしてもらいます。自分の情報は他人(に対する評価)が映し鏡になっているからです。

最後に、事業として社会を想っているかです。例えば、明らかに社会に対して、マイナスの中毒性をもたらすものや社会の正義に歪みをもたらすもの、道徳的に正しくないものへはそれがどんなに儲かるものだとしても、投資を行いません。

エンジェル 投資家

Q:これまで、興味を惹かれた会社や業界、実際に投資を行なった会社について伺ってもよろしいでしょうか。

直近では、オンラインデーティングゲームを展開する会社に投資を行いました。台湾でも少子化が大きな問題となっており、創業者の男女が理解し合うためのゲームを作りたいという強い思いに惹かれ、投資を行いました。

将来的には、いくつかのフェーズを経て、世の中がより便利になっていくと考えています。

まずデータ領域です。「ウェアブル」「衣服」「飲食」などをキーワードに、健康に関する情報収集とビックデータの構築が進むと考えます。

次にインフラ領域です。「ロボット」や「ドローン」、「AR」などが新しい社会インフラとして浸透し、人間の生産性を大きく拡大させると考えます。

最後にプログラム領域です。「キャリア」や「健康」、「家族」など身の周りのことが「AI」、「IoT」技術によってマネジメントされる時代が近い将来、来ると思います。こうした分野には、ぜひ投資したいですね。

Wise Ongg氏 プロフィール

台湾系財閥メーカー 社長室マネージャー

大学在学中に、起業とバイアウトを経験。大学院卒業後、東芝を経て、現在は投資家としてベンチャー企業、上場株式、不動産に投資を行いながら台湾系財閥メーカーの社長室にて、新規事業の立ち上げとグローバル戦略の立案を担当する。