今回はミュージックセキュリティーズ株式会社の渡部取締役にインパクト投資プラットフォーム「セキュリテ」での取り組みについて取材させていただきました。

Q:「セキュリテ」の特長や強みを教えてください。

A:まず地方産業を中心に支援をしている点が挙げられます。約半数以上が首都圏/関西圏以外の案件です。

次にプロダクトファンドに強みを持っています。特に酒類に注力しており、地方の酒蔵の支援においては数多くの実績を有しています。

これは日本酒の原料費や施設に関するコストと商品の完成までの収支ズレ発生に対して、ファイナンス支援を行うケースが多いです。インパクト投資プラットフォームを用いて事業者様に資金を提供し、プロジェクトが成功したら、投資家に収益を分配する仕組みです。弊社ではこれまで日本酒の酒蔵だけで50社以上、200万円〜6,000万円の規模で計10億円以上の調達を行い、90本以上のファンドを組成してきました(2019年11月時点)。今後はワインをはじめとした洋酒のファンドにも注力していきたいと考えております。

Q:企業を支援する際に、どのような観点を重視するのでしょうか。

A:まず「共感性」です。世の中のより多くの人が、プロジェクトに「共感」し、ファンになってくれるようなプロジェクトに投資をしたいと考えています。次に「独自性/地域性」です。弊社は必ずしも、利回りに固執した投資プロジェクトは行っておらず、地域産業への貢献やプロジェクトのオリジナリティを投資家様に対する訴求ポイントとして考えているからです。そうした点をベースとしてファンドとしての「商品性」や投資家様のお金を預かる責任をふまえて調達企業の「資金性」などをチェックします。

Q:これまでのインパクト投資における事例を教えてください。

A:まず、京都大学大学院医学研究科と、株式会社産学連携研究所と一緒に進めている大腸癌個別化ファンドを挙げたいと思います。現状、抗癌剤が効かないケースもあり、患者様の身体的、経済的負担が大きいのが現状ですが、癌の個別化を行うことで、薬剤治療の確度を高め、より的確な治療を目指しています。(医療情報提供元:株式会社産学連携研究所)

https://www.securite.jp/fund/detail/5257?fbclid=IwAR1h8ImfNCt7Y4FFxV1WWQAW2r3vQyo9jjEbTVZa-ywfqANzb1xeNG2qoi4

また「リウマチ診療を万人に届けるエコーファンド」も大変意義が大きいと思います。これは従来では開発に500万円かかるエコー機器を70万円まで抑えて開発することを目指しており、これによって医療現場での費用負担の減少や診断の迅速化が進みます。

https://www.securite.jp/fund/detail/5478?fbclid=IwAR2Npm6uqy21BLtsxfI_qc6Cn7gCyrDgbYXsIB4OFGzrdh033ASuSVCNC9A

こうした研究や医療における分野の課題をファイナンスの側面から解決していきたいと考えています。

Q:実際に、ファンドの組成までにどのようなステップが必要となるのでしょうか。

A:お問い合わせをいただいた後、審査を経て募集ページを作成し、資金調達を開始します。

お問い合わせをいただく際には事業計画と決算書類の準備が必要となります。また審査においては定性的な観点(共感性、独自性、地域性など)と定量的な観点(事業性)を確認させていただきます。

Q:事業における今後の方向性を教えてください。

A:資金調達における社会インフラとして、銀行との補完を進めていきたいです。現状、70以上の金融機関と提携を行なっていますが、今後も金融機関やコンサルティング企業、士業との提携を増やし、地域の課題を解決していきたいと考えています。

 

取材協力:ミュージックセキュリティーズ株式会社様

東京都千代田区大手町1-6-1大手町ビル3階

事業内容:

[証券化事業]
インパクト投資プラットフォーム「セキュリテ」の運営業務、
ファンド組成業務、ファンド販売業務
[音楽事業]
レコードレーベル業務、著作権管理業務、アーティストマネジメント業務

https://www.musicsecurities.com/