株式会社と株主総会の仕組み

IRオフィサーや企業の財務担当者に限らず、日本に住んでいるありとあらゆる人が「株式会社」に関わっています。

「株式会社」は会社法という法律によって「株主総会」や「取締役」についても明確に定められていますが、みなさんはどれくらいご存知でしょうか。

今回は「そもそも株式会社、株主総会とは何か」をベースに「会社法における機関としての株主総会」、「株主総会の全体像」を中心に解説します。

株主総会ってなに?

株式会社の構成員である一人一人の株主が、その会社の基本的な方針や重要事項について自分の考えを持ち、それを会社に伝えてたとしても、その意思決定は一個人のものと扱われるにすぎません。

しかし、株主総会で意思決定がなされた場合には、その意思決定は会社が行ったものと認められることになります。

株主総会とはその会社の基本的な方針や重要な事項を決定する重要な機関です。(ここで言う「機関」とは株式会社の意思や行動を実現するために作られたものです。)

株式会社は公開会社であるかどうか、そして大会社であるかどうかに関わらず、株主総会の設置が義務付けられています。

(ちなみに“公開会社”とは「自由に譲渡できる株式を一株でも発行する株式会社」のことで、“大会社”とは「資本金を5億円以上計上しているか、また負債総額が200億円以上の会社」をさします。)

株主総会を行うには綿密な準備が必要になります。一般的な流れとしては、株主総会での議案の作成から株主の招集手続き株主総会の開催株主総会の決議と続きます。

また、株主総会の決議が済めば、そこで終わりというわけではありません。株主総会での議事内容を株主総会議事録として作成しなければなりませんし、場合によっては登記申請を行うこともあります。

さらに株主報告で報告または承認された計算書類などは一般に知られなければなりません。

M&A ファイナンス ベンチャー スタートアップ 新規事業 経営戦略 事業戦略 企画 企画書 課題 特定 企業価値 バリュエーション 事業計画 資金調達 VC ベンチャーキャピタル DCF 起業 ビジネス 事業計画書 投資提案 調達 IR 株主総会 決算公告 コーポレートガバナンス 取締役 会社法 企業統制 バリュエーション ファンド 実務 ビジネス 金融商品取引法 金商法 レポート SWOT 3C 6C 5FORCE バリューチェーン 分析 市場調査
全ての株式について譲渡制限がない(会社の承認なしに株式を譲渡できること)か、または一部の株式についてだけ譲渡制限がある株式会社を公開会社といいます。

公開会社には以下のような特徴があります。

株主が入れ替わることを予定している。
②多くの株主がいる大規模会社であることが多い。
③誰もが安心して株主になれるように特に「経営の適正化」が図られなければならない。

非公開会社とは

すべての株式の譲渡につき、会社の承認を必要とする株式を発行している株式会社を非公開会社(全部株式譲渡制限会社)といいます。

非公開会社には以下のような特徴があります。

①見ず知らずの人が経営に口を出すことがないようにできている。
②通常は株主が入れ替わることを予定していない
③株主が経営を兼ねること(所有と経営の一致)が多いので会社経営の適正化を図る必要性が小さい。また親戚や仲間だけで経営を行うような事業規模の小さい会社は非公開会社であることが多い。

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株主総会以外にはどんな機関があるの?

取締役取締役会、会計参与、監査役監査役会、会計監査人なども会社の機関です。このうち、取締役会は意思決定および監督機関です。

原則として、会社を代表し、業務を執行するのは取締役ですが、3人以上の取締役がいれば取締役会を設置することができます。

取締役会を設置した場合には取締役の中から会社を代表する代表取締役を選定することになります。

なお、取締役会を選定しない場合でも、任意で代表取締役を置くことができます。

会計参与は会社の計算書類の作成をサポートする役を担っています。監査役や監査役会(すべての監査役で組織されたもの)は取締役が執行する職務について監査する権限を持つ機関であり、会計監査人は会社が作成する計算書類などを監査する機関です。

コーポレートガバナンスの観点から

会社には意思決定機関だけでなく、その決定に従って実際に事業を行う機関も必要です。そこで「会社は株主総会だけではなく、取締役も必ず置かなければならない」とされています。

企業の組織の在り方、あるいは企業統治といった言葉がよく使われますが、これがいわゆるコーポレートガバナンスです。

コーポレートガバナンスが大きく取り上げられるようになった原因は20年以上前に次々と会社の不祥事が明るみに出たことがあります。

会社の不祥事が多発したことによって会社の経営者を監視できているのか、そもそも監視する仕組みは整備されているのか、また監視する仕組みがあったとしてもその仕組みが機能していないのではないか、といった点が疑問視されるようになりました。

こうした疑問の声を受け、コーポレートガバナンスが重要視されるようになった結果、監査役制度株主権が強化されました。

監査役制度が強化されたということは取締役の職務執行を監査する権限が増したということです。取締役の職務執行を監査する権限が増せばそれだけ会社の組織のあり方は正されることになります。

コーポレートガバナンスを推進すれば株主総会も活発になる

株主権とは、株主が持つ権利のことです。株主権にはー株だけでも持っていれば行使できる権利(単独株主権)もあれば、あるー定数以上の株式を所有していなければ行使できない権利(少数株主権)もあります。また、株式の種類によっては、行使できる権利の内容が予め定められていて、それ以外の権利を行使できないものもあります。

ただ、株主がいずれの権利を有するにしても、株主権が強化されれば、会社の経営について監視·監督する株主の権限も強まります。

その結果、株主は株主総会を通じて、取締役の職務執行が適正かどうか、また効率的に行われているかどうかについて、コーポレートガバナンスを意譏していなかった時代に比
ベ、より強力に監視·監督することができるようになったと言えます。

このように、株主が株主総会を通じてより積極的に会社の意思を決定するプロセスに参加できるようになったということは、株主総会が開かれたものになってきた、ということです。

つまり、会社の所有者である株主が、ただ資本だけを提供するのではなく、会社の基本的な方針や重要事項を決定するために積極的に参加できることを意味します。それはとりもなおさず、会社の経営状況に真剣に向き合う株主が増えるということを意味しています。

このように、経済面だけでなく経営面からも会社を支援してくれる株主が増えることは、会社にとっても喜ばしいことと言えるでしょう。