なぜ今、”株主総会”なのか

企業の経営において心臓の機能を果たすのが財務・資金調達ですが、経営者がこうした実務を把握できず、落とし穴にハマってしまうケースが多々あります。

例えば、株式で資金調達を行う際、それが目的・ゴールになってしまった結果として、そのあと株主と良好な関係が構築できず、訴訟や清算という最悪の結果になってしまうこともあります。

株主と良好な関係を築いて業績を伸ばす会社と、自転車操業のような苦しい経営を続ける会社ではどのような違いがあるのでしょうか。

以下の内容では企業の発展のために必要不可欠となるIRの基本中の基本である株主総会とその進め方を記載しました。

定時株主総会とは

各事業年度の終了後、一定の時期に招集される株主総会を定時株主総会と言います。各事業年度というのは「各会社が設定している事業年度ごとに」という意味ですが、1年を超える期間を事業年度とすることはできません。

したがって、2年を1事業年度とすることはできません。たいていの会社は4月1日から翌年3月31日までの1年を事業年度上していますが、たとえば4月1日から9月30日までの半年を1事業年度、そして続く10月1日から翌年3月31日までの半年を1事業年度というように、1年以内の期間を事業年度とすることもできます。

上記の例では、定時株主総会は半年に1度開かれることになります。一定の時期というのは、実際にはその事業年度が終了してから3か月以内となります。

定時株主総会では、当期事業年度の決算報告事業報告剰余金の配当などが議題となります。

 

臨時株主総会とは

会社は、いつでも臨時株主総会を開催することができます。臨時株主融会は、定時株主総会とは異なって、開催すべき日時が定められているわけではありません。

たいていの会社では、次の定時株主総会の開催日までに株主総会の決議が必要な事項が緊急で発生した場合に臨時株主総会を開催します。

たとえば、定時株主総会が毎年6月に開催される会社で、8月に余剰金の額を減らして資本金を増額することにした場合、翌年の6月に開催される定時株主総会まで待つわけにはいきません。

こうした場合に、会社は臨時株主総会を開催し、減らす剰余金の額と資本金の額が増加する日(資本金の増加が効力を生じる日)について、株主総会の決議を得ることになります。

 

”定時総会”と”臨時総会”はどう違うのか

定時株主総会は各事業年度の終了後一定の時期に招集されますが、臨時株主総会の場合には、必要に応じて招集されるため、特に定まった日時はありません。

なお、通常の株主総会は取締役が招集します。したがって、定時株主総会も通常は取締役の招集によって開催されます。また会社側が必要に応じて株主総会を開催する場合にも、取締役が招集するのが原則です。

 

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株主総会の開催手続き

株式会社はその発行する株式の種類から公開会社と非公司会社に分かれます。また、その規模によって、大会社(資本金が5億円以上または負債総額が200億円以上ある会社)と大会社以外の会社に分類されます。株主総会の開催手続きは、その会社が公聞会社であるかどうか、そして大会社であるかどうかによって異なります。

さらに、その会社がどのような機関設計をしているかによっても異なってきます。

会社に設置する機関としては、取締役取締役会株主総会監査役監査役会会計参与会計監査人委員会があります。委員会を設置する会社である委員会設置会社の組織形態は、従来から日本にある会社の形態とは大きく異なっています。

会社の基本的な機関について見ていきましよう。

まず、会社経営のプロである取締役ですが、これは公開会社·大会社の区別がなく、どの会社にも置かれるものです。

しかし、取締役会については、設置する会社と設置しない会社が存在します。取締役会を設置する会社を取締役会設置会社と言い、設置しない会社を取締役会非設置会社と言います。株主総会の開催手統上、両者の間にはさまざまな違いがあります。

ただし、株式会社の最高の意思決定機関である株主総会はどのような会社であっても必ず置かれる機関です。

監査役は取締役の職務を監査する機関です。取締役会設置会社の場合には、取締役会を監査する機関として、3人以上の監査役から構成される監査役会が設置されることがあります。

会計参与は取締役と共同して計算書類を作成します。

大会社ではない取締役会設置会社において、監査役·会計監査人を設置していない会社の場合、会計参与を設置しなければなりません。

しかし、それ以外の会社は会計参与を置くかどうかは自由に決めることができます。

会計監査人は計算書類や附属明細書を監査する職務を担っており、大会社や委員会設置会社は必ず設置しなければなりません。

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非公開会社で取締役会設置会社の場合

取締役会設置会社の場合、株主総会の招集を決めるのは取締役会です。

株主総会の招集通知は、書面電磁的方法で、株主総会の開催日の1週間前までには発送しなければなりません。招集通知には、計算書類事業報告などを添付した上で、株主総会の目的事項を記載しなければなりません。

なお、複数の議決権を持っている株主が議決権の不統一行使をする場合には、株主総会の開催日の3日前までに、議決権を不統一行使する旨をその理由を添えて通知しなければなりません。

また、総株主の議決権の100分の1以上の議決権もしくは300個の議決権を有する株主には、議題提案権(株主提案権)が認められています。

非公開会社で取締役会非設置会社の場合

取締役会設置会社ではない場合、株主総会の招集を決めるのは取締役です。

株主総会の招集通知は、原則として株主総会開催日の1週間前までには発送しなければなりませんが、定軟で1週間以内に短縮することも可能です。

招集通知の方法は書面や電磁的方法だけでなく、口頭による通知や電話による通知も可能とされています。

招集通知ヘの記載事項や添付書類も取締役会設置会社とは異なって、特に必要とされる事項はありません。したがって、計算書類や事業報告などの添付も不要で、株主総会の目的事項も記載する必要はありません。

株主による議決権の不統一行使も、事前に通知する必要はありません。これは、そもそも招集通知に株主総会の目的事項の記載や必要害類の添付が求められていない以上、それに対して賛成するか反対するかを尋ねても答えようがないからです。

また、個々の株主は単独株主権を有していますから、これに基づいて株主総会の誰案を提案する権利(株主提案権)を行使することができます。このように、取締役会非設置会社では、株主総会は万能の機関とされていますから、取締役会設置会社と比べると、株主総会にはより強大な権限が与えられていると言えます。

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総会の運営方針を決める

株主総会を開催する際には、事前に運営方針を決めておくことはとても大切なことです。

以前のように総会屋対策をすることがほとんどなくなったからと言って、株主総会の準備が不要となったわけではありません。

むしろ、外国人株主や機関投資家が増えたことで、株主一人ひとりの権利意識は高まっています。

また、国内の個人株主であっても、会社の経営がどのような状態にあるのかを知りたいと思っている株主は多いのです。

株主総会を開く会社側は、こうしたことを踏まえて、株主総会の運営方針を決定する必要があります。

時代の要請にしたがって、積極的に情報を開示する姿勢を見せることが株主との信頼関係を深めるポイントとなるでしょう。

具体的には、株主が積極的に参加できる株主総会となるようにすることです。そのためには、開催日を他の会社とずらしたり、事前に配布する資料をわかりやすくまとめるといった工夫も必要です。

また、株主総会を法律上問題のない状況で開催することも大切な方針と言えます。

 

どのようなスケジュールで進行すればよいのか

株主総会を開催する準備は、開催日から遡って考えると無理のない日程で進行できるようにします。臨時株主総会の場合は、その決議が必要となる日かは遡って、法的に必要な期日を守ってスケジュールを立てることになります。

一方、定時株主総会の場合には、事業年度末日基準日として3か月以内には株主総会を開催しなければなりませんから,スケジユールを立てる際には、この期間内に法律を守りながら必要な作業を行っていくことになります。

どのような事務が必要になるのか

ここでは、特に時間的に守らなければならない事項の多い定時株主総会を例にとって考えてみましょう。

まず、事業年度末日を基準日として、計算書類など株主総会で必要とされる書類を作成します。株主総会は前述したように基準日から3か月以内に開催する必要がありますから、たとえば基準日3月31日だった場合には、遅くとも6月30日までには株主総会を開催しなければなりません。

仮に6月30日に株主総会を開催することを決めた場合には、その1週間前(公開会社の場合には2週間前)までには招集通知を発送しなければなりません。

そして取締役会設置会社の場合、その招集通知には計算書類事業報告書などを添付しなければなりません。

そのためには、招集通知を発送する時点で計算書類·事業報告書が取締役会によって承認されていなければなりません。

また、それ以前に、監査役が計算書類·事業報告書監査し、監査報告を取締役に提出することになります。

監査役が監査報告について取締役にその内容を通知しなければならない期限は、事業報告を受領した日から4週間が経過した日か事業報告の開属明細書を受領した日から1週間が経過した日までです。

したがって、事業年度末日から作成し始める書類は、少なくともその日までにはでき上がっていなければならないことになります。

このように、株主総会の準備期間は、法令上定められていた期間内にすべきことをこなしながら、最終的には事業年度末日から3か月以内に開催される株主総会の当日を迎えるまで、さまざまな機関が関わって協力しながら準備することになります。

 

種類株主総会

■株式の譲渡について、条件をつける定めを置く場合、会社は発行する株式の内容について、特別の定めを置くことができるとされてし,ます。

具体的には、定款に特別の定めを置いて株式を譲渡したり、取得する際の条件を付すことができます,特別の定めによって区別される株式は3種類あります。

その1つは譲渡制限株式と呼ばれる株式です。譲渡制限株式とは、その株式を讓渡によって取得する場合には、その会社の承認を必要とする株式です。また、「もっている株式について、株主が会社に買取りを求めることができる」という条件がついている株式を取得請求権付株式と言います。

また、その株式についてー定の事由が生じた場合に、これを条件として会社がその株式を取得することができる、という条件がついている株式を取得条項付株式と言います。

種類株式を発行する会社の場合

讓渡に関する条件をつけた株式とは別に、会社は内容が異なる株式を発行することができます。ただ本来、株式の権利内容は、同一かつ平等でなければならないのが原則です。

したがって、内容の異なる種類の株式を発行する場合には、予め定款で、内容が異なる種類の株式を発行することを定めて置かなければなりません。この内容が異なる種類の株式を種類株式と言い、2つ以上の内容の異なる種類株式を発行する株式会社のことを種類株式発行会社と言います。

種類株式発行会社において、特定の種類株主の総会を種類株主総会と言います。種類株主総会では、会社法で規定されている事項か定款で定めてある事項について、決議ができるとされています。

たとえば、特定の種類の種類株主に損害を与えるおそれのある変更などを行う場合には、その種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会を開催した上で、特別決議を経なければ、その変更の効力は生じません。

特別決議とは、その種類株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の過半数を保有している株主が出席し、出席したその株主の議決権の3分の2以上の多数をもってなされる決議を言います。

なお、会社法の定めで必要とされる決議をなすために開催されるものを法定種類株主総会と言います。法定種類株主総会の決議事項としては、たとえば定款の内容を変更して株式の種類を追加する場合や株式の内容を変更する場合などがあります。

一方、定款の定めで必要とされている決議をなすために開催されるものを任意種類株主総会と言います。いずれの種類株主総会の場合でも、その種類株主総会で議決権を行使できる種類株主がいない場合には、決議は不要とされています。