IR・財務担当者が知っておきたい、株主総会 招集通知の実務

  • 2018.10.21
  • IR
IR・財務担当者が知っておきたい、株主総会 招集通知の実務

<はじめに>なぜ招集通知を出すのか

株主総会は、会社の基本的な意思を決定するために開催されます。株主は、意思を表示するために代理人を立てたり、書面や電磁的方法によって議決権を行使することもできますが、基本的には株主総会の開催日に直接参加して議決権を行使することになります。

会社としては、株主が総会に出席したときや事前に投票を行うときに正しい判断を下せるように適切な情報を開示し、また総会がムダなく効率的に進むように配慮する必要があります。

このように、会社が招集通知を出すのは、株主に出席するために準備する時間を与えて株主総会に問題なく出席できるようにするためです。

どのような株主が対象なのか

招集通知を出す対象となる株主は、議決権を有する株主です。したがって、完全無議決権株式(議決権のない株式)の株主は、招集通知を出す対象とはなりません。

また、議決権制限株式を持つ株主の場合も、その株式が議決権を有しない事項に関しては招集通知の対象とはなりません。

自己株式単元未満株式一定の事由のある相互保有株式の株主株主総会において議決権を行使することができないので、招集通知を出す必要はありません。

なお、所在不明株主も招集通知を出す必要はありません。所在不明株主とは、株主名簿などに記載されている住所や通知先に通知や催告を出しても、その宛先に継続して5年間到着していない株主のことを言います。

ただし、所在不明株主に招集通知を出さない場合には、出さないのは通知や催告が5年間相手方に到着していないからであることを説明できるようにしておく必要があります。したがって、所在不明株主宛に5年以上出し続けて戻って来た通知や催告などは証拠としてとっておくとよいでしょう。

通知は書面で行うのが原則

取締役会設置会社の場合には、書面によって招集通知を行う必要があります。

一方、取締役会非設置会社の場合には、招集通知を口頭で行うことも電話で行うことも可能です。ただし、取締役会非設置会社でも、書面投票制度や電子投票制度を採用している会社の場合には、招集通知を書面で行う必要があります。

なお、書面での通知発送が義務付けられているケースでも株主の許可を得れば、電子メールなどで送付することができます。

実際には多くの会社では書面で通知を発送してしているようですが、法令上は株主総会の招集通知の方法については、前述したように取締役会設置会社とそれ以外の会社とに分けて定められています。

添付書類にはどんなものがあるのか

株主総会の招集通知を送るときには、原則として株主が議決権を行使する際に参考にできるように、計算書類や事業報告などの株主総会参考書類や議決権行使書面などを添付します。

会社の種類によって、添付しなければならない書類は異なります。

取締役会設置会社の場合には、会計監査人を設置している会社と設置していない会社で異なります。

取締役会設置会社でかつ会計監査人設置会社の場合には、計算書類、事業報告、監査報告、会計監査報告、連結計算書類(子会社などを含めた計算書類)を添付します。

連結計算書類とは、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結注記表のことで、会計監査人が作成します。

取締役会設置会社で会計監査人設置会社ではなく、監査役設置会社である場合には、計算書類、事業報告、監査報告を添付します。一方、取締役会非設置会社の場合、計算書類や監査報告書の添付は不要です。

手続きを省略できる場合もある

会社は、一定の場合には、株主総会の招集手続きを省略することができます。招集手続きを省略できるのは、議決権を行使できる株主全員の同意があった場合です。

具体的には、招集通知を出さずに手続きを省略して株主総会を開催するケースと、株主総会の開催予定日までの招集期間を短縮するケースがあります。

その場合は書面による同意書を株主から提出してもらう必要があります。

招集手続きの省略はどんな種類の会社でもできるというわけではありません。省略できる会社は、書面投票制度・電子投票制度を採用していない比較的株主の少ない会社です。

たとえば、株主がー人しかいない会社(一人株主会社)や同族会社(親族で経営している会社)などの場合に全員の同意があれば招集手続きを省略できます。

なお、全株主が株主総会を開くことに同意した上で出席した場合、たとえ招集手続きがなされていなかったとしても、その株主総会は適法に成立します。このようにして成立した株主総会を全員出席総会と言います。

どのように作成するのか

取締役会設置会社の場合、招集通知には、株主総会の日時、場所、株主総会の目的事項、書面によって議決権を行使できること(導入している会社の場合)、電磁的方法によって議決権を行使できること(導入している会社の場合)、株主総会の開催場所が過去の開催地と著しく離れている場合に記載しなければならない事項(理由)など、法務省令で定められている事項を記載しなければなりません。

招集通知は、本文・追記に分けて書きます。本文には招集通知の発信日、通知する宛名を記載します。宛名に続けて株主総会の招集権者名を会社名·所在地·招集権者の地位(肩書き)と共に記載します。また、開催予定の株主総会の種類と回数を「第◯◯期(回)定時株主総会招集ご通知」といった形式で記載します。

以上の本文との問を1行以上空けて、「記」といった形式で追記の部分を記載します。追記部分には、株主総会に関する重要な情報をまとめて記載します。

具体的には、株主総会の開催日時、開催場所、株主総会の目的事項を記載します。目的事項は、その性質に応じて株主総会に報告する事項(報告事項)と決議が必要な事項(決議事項)に分けて記載します。

このうち決議事項については、「第○号議案」といった形式で議案ごとに番号を振っていき、内容をある程度、簡潔にまとめたタイトルをつけて列挙します。株主が提案した議案がある場合には、会社提案の議案と株主提案の議案に分けて記載するとわかりやすくなります。

その上で追記部分の末尾には、議決権の行使に関する注意寄きや議決権行使書面や委任状など、株主に持ってきてもらいたいものなど、特に注意を喚起したい事項を記載します。

開示できる事項がある

インターネット上に株主総会参考書類の記載事項のー部を開示してそのアドレスを株主に通知すると、開示した事項については株主に提供されたものとみなされます。

そのためには、株主総会の招集通知を発信した時からー定期間、維続してインターネット上で開示しなければならないことになっています。

このような開示制度を採用している会社において、招集通知を株主に送った後に株主総会参考書類に記載している事項を修正する必要がある場合、インターネット上で修正した内容を開示できます。

ただし、修正が認められるのは、予め株主に送った招集通知に、「修正事項が生じた場合にインターネット上で修正後の内容を開示すること」を記載していた場合です。

したがって、後日修正が生じた際にインターネット上で修正後の内容を開示することを想定している場合には、なお書や追記の末文にその旨を記載し、修正後の内容を開示するURLを記載するとよいでしょう。

いかがでしたでしょうか。コーポレートガバナンスに対する社会的な注目も高まる中で、上場企業に限らず、ベンチャーを含む非上場企業でもIRやSRの考え方は広がっており、特に株主総会の実務は非常に重要な役割を担っています。

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