株主総会における議案・議題の決定プロセス 決定版

  • 2018.10.21
  • IR
株主総会における議案・議題の決定プロセス 決定版

<はじめに>議題と議案はどう違うのか

議題とは、株主総会の目的事項となるものです。たとえば、取締役を選任する必要がある場合に、「取締役選任の件」などと表記します。株主総会の議題としてとりあげるかどうかは、取締役会設置会社では、通常取締役会で決定され、株主総会の招集通知に記載されて株主のもとに届きます。

ただ、一定の要件を満たした場合には、株主も自分が株主総会にとりあげるべきだと思った議題を総会でとりあげるように働きかけることもできます(これを議題提案権といいます)。

一方、株主総会における議案とは、株主総会において決議の対象となる目的事項の具体的な内容のことです。たとえば、取締役会において、先ほどの「取締役選任の件」という議題が出され、候補者も決定したとします。

これを株主総会の議案とする場合には、「第0号議案◯◯を取締役に選任する件」といった形式で記載します。なお、取締役会などで決定された議案は、決定した日時、決定場所などを記載し、取締役会議事録に記録しておきます。

株主提案権とは

株主は通常、招集通知でとりあげられた事項について議決権を行使することで、意思表示をします。しかし、株主総会でとりあげるべきだと思う事項が株主総会の議案として提出されていない場合もあるかもしれません。

このような場合に株主が何もできないのでは、実質的な会社の所有者である株主の権利が十分に行使されるとは言えません。会社法は、こうした場合に、議題や議案を提出する権利を株主に認めています。これを株主提案権と言います。

株主提案権には、新たに議題を提案できる議題提案権と株主総会の目的である事項について、具体的な内容のある議案を提出できる議案提出権があります。

議題提案権について

株主が株主総会の目的事項を新たに提案することを議題提案権と言いますが、すべての株主にこの権利を認めてしまうと、濫用される恐れもあります。そこで、会社法は議題提案権を行使できる株主の要件を会社の種類ごとに分けて定めています。

会社が公開会社でかつ取締役会設置会社の場合には、6か月前から継続して株式を保有している株主のうち総株主の議決権の100分の1以上の議決権を持っているか、300個以上の議決権を持っている株主でなければ議題提案権を行使することはできません。

ただし、期間や議決権の割合·数の要件は、定款で引き下げることができます。また、議題提案権を有する株主は、株主総会開催日の8週間前までに請求しなければなりません。この期間を定款で短くすることもできます。

一方、会社が非公開会社でかつ取締役会設置会社の場合は、総株主の議決権の100分の1以上の議決権か300個以上の議決権を有する株主でなければ議題提案権を行使できません(6か月の保有期間は不要です)。

ただし、公開会社の場合と同様に、期間の制限と保有する議決権の割合や数については、定款で引き下げることができます。議題提案権を行使できる株主は、株主総会開催日の8週間前まで(期間は定款で短縮可能)に請求する必要があります。

なお、取締役会設置会社でない会社には、上記のような要件はありません。

議案提出権について

株主総会の目的である事項について、具体的な内容のある議案を提出できる権利を議案提出権と言います。

株主には、この議案提出権が認められていますが、株主が提案しようとしている議案炉法令や定款に違反する場合、提案することはできません。

また、提案しようとしている議案と実質的に同じ内容の議案が過去に提案されていて総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られていなかった場合には、賛成を得られなかった日から3年経過していなければ、提案することはできません。

株主は、自分が提出しようとしている議案の内容(議案の要領と言う)を、会社の費用で株主総会が開催される前に、他の株主に通知するように会社に対して請求することができます。

これを議案通知請求権と言いますが、請求を受けた会社は、議案の要領を招集通知に記載(もしくは記録)し、他の株主にその内容を知らせなければなりません。

議案提出権を有する株主が議案通知請求権を行使する場合、一定の要件を満たした株主でなければ行うことができません。

公開会社でかつ取締役会設置会社の場合には、総株主の議決権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を有し、かつ6か月前から継続して株式を保有している少数株主でなければ請求権を行使できません。

非公開会社でかつ取締役会設置会社の場合には、総株主の議決権の100分の1以上の議決権または300個以上の議決権を有する株主であれば請求権を行使できます。

一方、取締役会を設置していない会社の場合には、単独株主権を持つ株主であれば請求権を行使できます。なお、議案通知請求権を行使する際には、株主総会の日の8週間前(期間は定款で短縮可能)までに行わなければなりません。

どんなことを書くのか

書面投票や電子投票を採用している会社は、招集通知の際には株主総会参考書類を添付しなければなりません。この株主総会参考書類には、取締役や取締役会が決定した株主総会の議案も記載されていますから、必然的に招集通知を送付するまでには議案内容を決定しておかなければなりません。

ただし、議案が決まっていない場合には、決まっていないことを記載しておくことができます。招集通知に記載する議案の中でも特に重要なものについては、その要領も記載する必要があります。

記載した事項を修正したり変更するには

招集通知に記入した議案や議題に誤りがあった場合、可能な限りすばやくかつ正確に修正する必要があります。

特に、法令で議案の要領を記載しなければならない、とされている目的事項の記載に誤りがあった場合は、そのままにしておくと、総会で決議を行っても後に取り消されて多くの関係者が被害を受けてしまった、という事態が起こる可能性があります(これを総会決議取消事由と言う)。

一度発送してしまった招集通知に記載した株主総会の目的事項や議案そのものを変更することは、原則として認められていません。

この場合、総会決議取消事由とならない最も確実で安全な修正方法は、正確な内容を記載した招集通知を改めて作り直した上でもうー度発送する方法です。

ただ、書面投票・電子投票を採用する会社など、たいていの会社は、株主総会の開催日から2週間前までには招集通知を株主に発していなければなりませんから、作り直して発送した場合にその期間に間に合うかどうか、難しいところです。

したがって、こうした状況をあらかじめ想定している会社や過去に修正事項が生じた経験を持つ会社の多くは、Web上(自社のホームページ上)で修正することができるようにしています。

また、作り直す時間はなくても訂正文を送る時間がある場合には、招集通知とは別に訂正文を送るケースもあります。招集通知を作成したものの発送前に修正する必要性が生じた場合には、招集通知に訂正文を同封して送付することもできます。

なお、インターネツト上で修正できない場合で他の方法をとる時間的な余裕もない場合には、株主総会当日に訂正文を印刷した用紙を配布するといった対応をとることになります。

いかがでしたでしょうか。コーポレートガバナンスに対する社会的な注目も高まる中で、上場企業に限らず、ベンチャーを含む非上場企業でもIRやSRの考え方は広がっており、特に株主総会の実務は非常に重要な役割を担っています。

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