友好的ではない株式取得=敵対的買収

敵対的買収とは、一言で言うと「株式取得による経営権の獲得」をいいます。買収される側の企業の経営者が買収に賛成であれば友好的買収となりますが、反対だった場合は敵対的買収となります。

敵対的買収は、一般には買収によって経営権を交代させ、マネジメント体制を一新することで、企業価値を高めることを目指して行われます。

経営者が買収に反対している場合には、経営の統合に経営者の同意が必要な合併や株式交換、移転などの手段を使うことができません。

そのため、敵対的買収では、買収者は株主に直接的に株式の取得を働きかけ、持ち株比率を高めることによって買収の実現を目指します。

公開買付け(TOB)とは

経営の支配権を獲得するためには大量の株式を取得する必要があります。株式の取得は株式市場でも可能ですが、株価の高騰を招いたり、買収の成否にかかわらず株式を購入するリスクを負うため、買収が失敗した場合には巨額の評価損を被るおそれがあります。

一方、株式市場外での大量の相対取引は禁止されているため、敵対的買収では公開買い付けを利用して、株式市場外で株主から取得する方法が用いられます。

株主の株式売却を促すために、市場価格に3割程度のプレミアムをつけた買収価格を提示する必要があります。

委任状闘争とは

公開買付けは株式取得という直接的な方法によって、株主総会での議決権の取得を目指す方法です。しかし、議決権を獲得する方法には他の株主から議案に賛成するという「委任状」を集める手段があります。委任状を広く集める行為は委任状闘争(プロキシーファイト)と呼ばれます。委任状闘争によって、株主提案を行い現任の取締役を解任し、別の取締役を選任することによって、結果的に敵対的買収を実現することが可能となります。