プロジェクトの計画においてスコープの定義は非常に重要です。今回はスコープの定義からスコープ記述書への明文化までを扱います。是非ご一読ください。

スコープ定義/スコープ記述書とは?

「スコープ(Scope)」を直訳すると「範囲」という意味になります。プロジェクトのスコープは単純化すると「プロジェクトの範囲」となります。ここから、プロジェクトを計画するにあたり、プロジェクトのスコープを定義してから計画を進めていきましょう。

定義したスコープはスコープ記述書に明文化していきます。「プロジェクトの範囲」といっても「プロジェクトの範囲はここからここまで」という簡単なものではありません。成果物や要素成果物の仕様、作業内容·方法、納品時のチェック項目(完了条件)やプロジェクトマネジメントに対する方法論、納品する書類、作業内容·方法、レビューのチェック項目、会議やレポートなど、さらには、プロジェクトの前提条件、制約条件など、企業や組織、業種業態により多岐にわたります。

企業や組織、業種業態によっては詳細に定義し、プロジェクト記述書が相当数のページになる場合もあります。では、このスコープ定義をし、スコープ記述書を作成するために必要な情報ソースは何になるのでしょうか。

すでに勘が鋭い人はおわかりかと思います。それは、調整され現段階で確定されている、プロジェクト憲章、要求事項をまとめた文書など、スコープ記述書を作成する前に確定した文書類です。

プロジェクト憲章では、目的,目標、制約条件、前提条件などが明文化されています。要求文書では仕様、手法、作業内容、進め方などあらゆる要求事項が明文化されています。これらの情報をもとにスコープを定義し、スコープ記述書を作成していきます。

スコープ記述書で最低限明確にする内容

業種業態、企業や組織によりスコープ記述書の詳細化レベルが異なります、詳細化のレベルによりスコープ記述書のページ数も異なってきます。ここは、スコープ記述書で一般的に最低限明確にすべき項目を説明します。皆さんの企業や組織ではスコープ記述書のテンプレートが完備されている。もしれません。完備されていない場合でもワードやエクセルを使って作っていきましょう。

1.基本情報

プロジェクト名、スコープ記述書のバージョン番号、作成者、この文書の目的を明記します。この文書もプロジェクト憲章と同じく、今後改定される可能性があります。バージョン番号を明確にしておきましょう。

2.成果物スコープ

成果物に特化したスコープを明確にします。さらにわかりやすく説明すると、プロジェクトによって生み出される製品やサービス自体の範囲を明確にします。そして、当該製品やサービスを生み出すためのプロジェクトマネジメントで生み出される書類やレポート自体の範囲を明確にします。例えば、プロジェクト憲章や要求事項の文書で明らかになっている成果物に関する機能や仕様、設計、制作に用いる技術や方法論などです。「プロジェクトで生み出すものは何か」の「What」を明確にします。

3. プロジェクトスコープ

プロジェクトの作業や活動に特化したスコープを明確にします。さらにわかりやすく説明すると、成果物を生み出すための作業や活動と、プロシェクネジメントの作業や活動の範囲を明確にします。例えば、成果物を生み出す作業·活動内容、工程やその計画、作業·活動時の手法や方法論、会議、報告、またプロジェクトマネジメントの作業·活動内容としては、プロジェクトマネジメントの手法や内容、方法論、計画(計画書類、会議、報告、進捗管理、各種計画や文書の変更に関する管理、プロジェクト終了方法などです。「成果物をどのように生み出すか」の「How」の作業や活動を明確にします。

4.受入れ基準/完了基準

成果物を納品した際のチェック基準、手法、プロセスなどを記載します。成果物を納品する場面を想像してみてください。どのようなチェック項目で誰がどのようにチェックし、最終的に誰が決裁し納品が完了するかを想像しながら具体的に記載しましょう。また、チェック項目は、成果物スコープの条件が満たされている必要があります。

5.要素成果物

各成果物を構成している要素を記載します。例えば自動車が成果物だった場合、その自動車を構成している要素、エンジン、シャーシ、ボディ、電子部品額…などを記載し、その概要や詳細を記載します。

6.前提条件

成果物スコープやプロジェクトスコープに関する前提条件を記載します。プロジェクト憲章の前提条件はプロジェクト全体の前提条件でしたが、ここではそこからさらに各スコープに特化した前提条件を記載します。また、もしもその前提条件が発生しなかった場合、どのような事態が発生するかを記載します

7.制約条件

成果物スコープやプロジェクトスコープに関する制約条件を記載します。プ『シェクト憲章の制約条件はプロジェクト全体の制約条件でしたが、ここではそこからさらに各スコープに特化した制約条件を記載します。コストやスケジュール、経営指示や、契約内容、さらには利用する技術や方法論など多岐はたります。

8.除外事項(Out of Scope)

プロジェクトではOut of Scope(アウト·オブ·スコープ)という言葉をよく使います。これはプロジェクトの「範囲の外」という意味です。スコープに述書ではスコープとして「やること」の他に「やらないこと」も明文化して杉きましょう。例えば、マーケティングでWEBを活用したマーケティングを実施することが決まっていたとしても、除外事項としてスマホ対応のWEBまたはアプリによるマーケティングはしない、と「やらないこと」を明確にできます。要求事一項収集時のWon’t(不要)とも関連してきます。

9.承認

プロジェクトが進むにつれ、スコープ定義やスコープ記述書で明確にした決定事項を忘れてしまったり、スコープ記述書を決裁者やステークホルダーが読んでおらず、後になって、これは誰が決めたんだ、知らない、聞いていない、などの問題が発生する場合もあります。スコープ記述書に対してあらかじめ定めた決裁者からの承認、または関連するステークホルダーからの合意を得て、それを明確にする項目を設けておくことをお勧めします。

10.改定履歴

今後の計画時に新たな事実が明らかになったり、実行時に新たな事象が発生したりするなど、やむを得ない事情から決裁者の承認を経てスコープ記述書を改定するかもしれません。改定履歴の項目を設け、バージョン情報、改定日、作成者、変更内容なとを明確にし、最新のスコープ記述書はどれなのかを識別できるようにしておきましょう。