<はじめに>全ての事業は現状認識(調査)、定義から始めよう
日々、様々なサービスや商品がリリースされ、世の中は日進月歩で便利になっています。
しかし、その裏では消えていくサービス、商品も数多く存在しており、成功する事業(サービス、商品)よりも圧倒的に失敗する事業の方が多いのが現実です。
そもそも、成功した事業と失敗した事業では何が違うのでしょうか。なぜ、似ていること、もしくは同じことをやっているのに成功する人と失敗する人に分かれるのでしょうか。
その要因は百者百様ですが、成功した人たち(企業)が共通して行っていることを分析し、真似することでその確度を高めることもできます。今回はその「新規事業の確度」を高めるために必須となるリサーチの方法論を体系的かつシンプルにお伝えしたいと思います。
調査概要を用いて目的や仮説、その検証方法を合意する

調査報告書はアクションをとるためのインプットです。単に数値グラフ化して並べるのではなく、検証したい仮説に対して、結果をどう判断したのかを意識してまとめましょう。
調査報告書は、まず冒頭で調査の目的や、調査で検証する事項を述べた上で、調査手順や対象などを提示します。検証事項とは、例えば、「この市場は今後も成長するのか?」「市場ヘの参入障壁は何か?」「競合にない自社の強みは何か?」「願客ニーズに応えられていないことは何か?」などです。
この検証事項は調査設計そのものにも関わり、報告書はこの検証事項の回答になっている必要があります。各調査の冒頭では、対象範囲を明記します。業界、競合、顧客の中には、明確に線引きしにくいものもあるためです。
バブルチャートで調査範囲を特定する

競合調査では、競合を特定した上で、どのような観点でどうするのかし比較軸をはっきりとさせます。
強み·弱みはあくまでも相対的なものだからです。現代は、ビジネスが複雑化し、イノベーションにより新たな業界構造が生まれたり、逆に崩壊したりと、競合を特定するのが難しくなってきています。
縦棒グラフで業界規模と推移を表現する

ポジショニングマップなどで、調査範囲がー目で分かるよう表現しましょう。分析結果は、グラフが多くなりますが、単にグラフを作成して終わりにせず、そこから読み取れることをメッセージとして明記します。
グラフに対して「以下のとおり」という説明だけでは、仮説の検証になっていません。さらに考察を深めて、見解や「こうすべき」という主張まで提示します。
外部環境をフォーマットを使って表現する


業界や市場、顧客の分析にはPEST、3C(6C)、5Force、4P、AIDMAなど有名なフレームワークが多数存在します。検証したい仮説に応じて、検討軸として活用してみることで、偏った見方ではなく網羅性のある検討が可能になります。フレームワークを活用する場合でも、情報の整理に留まらず、見解や主張を提示することを意識します。
バリューチェーンとポジショニングマップで位置を特定する

自社の顧客に価値を届けるプロセス全体を時には業界やプレーヤーの種類を超えて全体を俯瞰した上で、競合を特定します。価値を届けるプロセスは、バリューチェーンと呼ぼれます。
製造業であれば商品開発から始まり、生産、営業などが並びます。この流れにプレーヤーを配置することで競合を特定します。
経営指標での現状と推移を「線グラフ」で表現する

競合調査の分析視点として意識したいのは、「水平と垂直」「大から小ヘ」という視点です。まず、「水平と垂直」とは、水平は現時点での形勢、垂直は時系列での変化です。サンプルスライドでは、経営指標比較がそれに当たります。
レーダーチャートで強みや特色を表現する

顧客の利用実態や支持層を線グラフや棒グラフで表現する
次の「大から小ヘ」は、大きな視点から徐々に細かし,組織能力ヘと分析を進めていくという意味です。サンプルスライド例では、大きな財務的視点から分析し、事業の構成割合、そして組織能力の比較と徐々に詳細な比較につなげています。いきなり細かい違いを提示しても、単なる違いなのか、優位につながるものなのかが分かりにくくなるからです。
競合調査で重要なのは、同じところと圧倒的に異なる点を見極めることです。異なる点といっても単なる違いではなく,成果に結びつく競争優位の源泉です。競争優位性をしっかりと印象づけられるグラフのバリエーションを覚えておくと便利です。
顧客を階層で表現し、各階層への示唆を明示する

いかがでしたでしょうか。企業がより高い確度で新規事業をスタートし、事業開発を成功させるためのフォーマットをご紹介しました。こうしたフォーマットはIRの観点でも非常に重要な位置を占めます。
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